PROJECT期待値に噛み付く。FINAL FANTASY XIV FREE TRIAL SITEスクウェア・エニックスPROJECT期待値に噛み付く。FINAL FANTASY XIV FREE TRIAL SITEスクウェア・エニックス

ファイナルファンタジーXIV (以下、FFXIV)とは「エオルゼア」という世界を舞台に、世界中のプレイヤーと共に冒険ができるオンラインゲーム。バトルだけに留まらず、アイテムの製作からファッションコーディネート、麻雀まで多彩な楽しみ方ができる充実したコンテンツと、プレイヤーを惹きつける魅力的な物語で世界的な人気を獲得している。そんなFFXIVへのエントリーポイントとなるフリートライアルサイトのリニューアルをアイスタが担当した。

左: フロントエンドエンジニア 小野田(2018年入社)
右: アートディレクター 足守(2014年入社)

PROLOGUE

「ゲーマーとして熱い魂を持った人に担当してもらいたい」。得意先の作品への想いは他に類を見ないほど強いものだった。そんな得意先と同等あるいはそれ以上の情熱をもってプロジェクトに向き合い、圧倒的なクラフトを創りあげたアイスタFFXIVチーム。
そのクリエイティブは得意先の期待値を遥に凌駕しただけでなく、世界中から5,000以上の応募が集まる権威あるWEBコンペティション「W3 Awards」で、最高賞であるBest in Showを獲得するという快挙を成し遂げた。
アイスタのクラフト力の高さを証明する格好となった本プロジェクト。その中心となった二人のクリエイターに、挑戦の軌跡を語ってもらった—。

左: フロントエンドエンジニア 小野田(2018年入社)
右: アートディレクター 足守(2014年入社)

最高の「物語」に、共鳴できるか。最高の「物語」に、共鳴できるか。

足守 :  プロジェクトのはじまりはFFXIVマーケティングチームから「FFXIVフリートライアルサイトのリニューアルがしたい」と、相談をいただいたことがきっかけでした。そのとき、「作品の魅力をしっかりと伝える事のできる、ゲームへの知見がある人に担当してもらえたら…」という希望も一緒に添えられていたんです。

小野田 :  アイスタにこの話がきたとき、すぐに僕に声がかかりました。というのも僕はFFXIVを創成期からプレイしてきた生粋のファンで。それを知っていた上司が、適任者として僕を指名してくれたんです。
実は、アイスタ入社当初からゲーム関連の仕事はいつかやりたい、と思い描いていたのですが早くもそのチャンスが巡ってきたんです。それも自分がずっと愛してきた作品で。これには気合が入りました。「小野田に任せて正解だった」とすべての人が思うパフォーマンスを見せつけよう、と密かに心の中で誓いを立てていました。

足守 :  それから社内でFFシリーズに精通したデザイナー、エンジニアをスカウトして、さらにメンバーを増やしていきました。そうして最高のメンバーが集う、アイスタFFXIVチームが結成されたんです。

冒険のはじまりを表現したメインビジュアル

キャラクターたちがポーズを決める「ジョブ紹介」のセクション

「プレイヤー発想」で生まれた化学反応「プレイヤー発想」で生まれた化学反応

足守 :  最初のオリエンの場で、FFXIVマーケティングチームが考えたWEBサイトのワイヤーフレーム(サイトの要素や機能、情報が記載された設計図面)を受け取りました。このワイヤーフレームどおりに制作することも考えられたのですが、念願のFFシリーズ案件ということもあり、プレイヤーである僕らなりにも考えられることがないか、可能性を広げてアイデアを出してみることにしました。

FFXIVでは家を建てるなどの「スローライフ」も楽しむことができる

小野田 :  例えば「スローライフ」のセクションは僕たちのアイデアで追加した部分です。FFXIVの魅力を見つめ直したときに、ダンジョン攻略だけではないオンラインゲームならではの多彩な楽しみ方にも光を当てるべきだと考えたんです。

「ジョブ紹介」のセクション

足守 :  さらに、最大のチャレンジだったのは「ジョブ紹介」のセクション。ここで使用しているキャラクター達がポーズを決めるモーション素材も僕たちの提案から生まれたものです。既存の素材もあったのですが、そこもプレイヤー視点でより良い表現の可能性を模索した結果、この演出アイデアにたどり着きました。

小野田 :  FFXIVにはさまざま遊び方の文化があります。僕たちが目をつけたのが、ゲーム内に自分好みの家を立てて楽しむ“ハウジング文化”と、高性能なカメラ機能を駆使してお気に入りのシーンを撮影する“スクリーンショット文化”です。「ジョブ紹介」の演出を躍動感あるものにするために、ハウジングとスクリーンショットを組み合わせ“ゲーム内に撮影スタジオをつくる”ことを考えたんです。

足守 :  今回のプロジェクトのためにゲーム内に撮影スタジオを建てて、そこでキャラクターごとのモーションをブルーバック撮影(合成に用いる映像素材を青い背景で撮影する手法)していきました。そのブルーバック素材をアフターエフェクト(デジタル合成を得意とする映像編集ソフト)で合成処理することで理想的な素材をつくることに成功したんです。
そもそもFFXIVの機能・文化を知らなければこのアイデアは生まれなかった。作品を知り尽くしたメンバーだからできたクラフトだったと言えます。

演出の提案用に仮で行ったブルーバック撮影の様子

FFXIVでは家を建てるなどの「スローライフ」も楽しむことができる

「ジョブ紹介」のセクション

演出の提案用に仮で行ったブルーバック撮影の様子

クリエイティブで掴んだONE TEAMクリエイティブで掴んだONE TEAM

足守 :  初回提案には特に力を入れました。アイスタFFXIVチームとして初の提案だったので、ここで「安心して任せられる」と思ってもらえるかが勝負だと考えていたんです。いかに僕たちがFFシリーズを愛しているか、その想いが提案のクオリティに現れていなければいけない。妥協はできませんでした。

小野田 :  提案にはチーム全員で臨みました。僕たちが情熱をかけてつくり込んだ提案は、FFXIVマーケティングチームの心をしっかりと掴んだ手応えがありました。ゲームの中でブルーバック撮影までやってしまう僕たちのチャレンジ精神には、マーケティングチームの皆さんも大ウケで。「そんなやり方があるのか」という驚きとともに、クオリティを追求する姿勢を高く評価していただきました。

足守 :  初回提案で良い評価が得られたことで、そこから先はお互いに前向きなディスカッションができました。「このサイトが最も魅力的になるように素材選びを含めて提案してほしい」という言葉もいただき、デザインに使用するプレイ画面などの要素もマーケティングチームと一緒になって選定しました。まさに、同じゴールに向かって突き進む一つのチームになれたように思います。

小野田 :  僕たちの提案を見たときにある担当者さんが「これ、すごく良い」と、独り言をこぼされたんです。その一言がいまだに頭のなかでリフレインします。きっとこの記憶は消えないと思います。

最適解だけでは、最高は生まれない。最適解だけでは、最高は生まれない。

小野田 :  このフリートライアルサイトの制作以降、FFシリーズ関連の案件を複数任せていただいています。幅広い相談をいただいているのは良好な関係性があるからこそだと思います。

足守 :  得意先と良い関係をつくるために僕たちクリエイターができることって、やっぱり良いアウトプットをつくることだと思うんです。クラフトが良ければ、信頼関係が生まれ、次の仕事につながる。昨今、業務効率化を是とする世の中の風潮がありますが、予算や時間を気にしてクラフトを諦めてしまうのは非常にもったいないと思います。FFXIVマーケティングチームとの仕事が広がったのもクラフトにこだわり抜いたからこそですから。

小野田 :  僕はアイスタ入社当初、エンジニアとして仕事の領域は決まっているのだろうと想像していました。でも実際にはそんなことはなくて、自分次第でプラニングやデザインの領域にも参加できることをこのプロジェクトを通して知りました。
現在は、この仕事を絶対に離さないために日々爪を研いでいます。もしも「この技術要件は小野田じゃ無理だな」なんて言われたら、死ぬほど悔しいですから。次はどんなモーションを取り入れようか、どんな演出に挑戦しようか、常にアイデアを考えています。

足守 :  デジタルは表現の幅が広い。使いやすく完成されたUI/UX(ユーザーとサービスをつなぐインターフェース。またそれを通じて得られる体験)も大切である一方で、培われてきたセオリーを尊重しながらいかにオリジナリティのある表現を生み出していけるかが、これから先より重要になっていくと思います。
ちょうど僕のマインドとして「正しいUI/UXと、突き抜けたクリエイティブ。どちらを目指すべきなのか」と迷いを感じていた時期に今回の仕事を評価してもらえた。このプロジェクトから勇気をもらって、僕のなかで何か吹っ切れるものがありました。これから先、まだまだクリエイティブを楽しんでいこうと思っています。