PROJECT守備範囲に噛み付く。サントリー緑茶「伊右衛門 特茶」特茶スマートアプリサントリー食品インターナショナル株式会社PROJECT守備範囲に噛み付く。サントリー緑茶「伊右衛門 特茶」特茶スマートアプリサントリー食品インターナショナル株式会社

サントリー緑茶「伊右衛門 特茶」は、トクホ飲料史上で初めて“脂肪の分解”に着目した、“体脂肪を減らすのを助ける”特定保健用食品として、「伊右衛門」ブランドから発売された。競争の激しい飲料市場において、2013年の発売から長きにわたりロングセラーを続けている。そのプロモーションで大きな注目を集めたのが「特茶スマートアプリ」だった。

左: プラナー 原(2012年入社)
右: プロデューサー 今井(2010年入社)

PROLOGUE

人生100年時代。特定保健用食品である「サントリー 伊右衛門 特茶」は、食事、運動、特茶という“特茶リズム”を提唱。特茶を飲料として提供するだけでなく、生活習慣までを提供していくサービスへの進化を目指した。特茶から習慣そのものを変えていく戦略に、博報堂はグループ全体で向き合うプロジェクトを発足。もはや生活者が生活インフラとして様々なアプリを選び手にする時代において、アイスタ特茶チームが挑んだのはサービスデザインそのものだった。

左: プラナー 原(2012年入社)
右: プロデューサー 今井(2010年入社)

手応えから、アプリをサービスに。手応えから、アプリをサービスに。

今井 :  プロジェクトの前身は、限定500人が対象のキャンペーン向けアプリでした。商品に貼ってあるシールを集めて応募すると、当選者のみ約2ヵ月間半のパーソナルトレーニングを受けられる体験プログラム型の施策です。でも、この体験プログラムが想像以上の結果で。

原 :  500人限定でファンに特茶を飲みながら簡単にできるダイエットプログラムをプレゼントするキャンペーンとしてはじまった取り組みですが、クライアントも手応えを感じてくれていて。キャンペーン後の打ち手をクライアントと一緒に画策するなかで、アプリを一般リリースして、“特茶リズム”をもっと推進させていこうという運びになりました。

ユーザー体験を重視した「特茶スマートアプリ 」のインターフェース

ユーザー体験を重視した「特茶スマートアプリ 」のインターフェース

習慣化せよ、サービス化せよ。習慣化せよ、サービス化せよ。

原 :  一般リリース直後は「ダウンロード特典で特茶1本プレゼント!」のインセンティブ効果もあって、一気に20万近くのダウンロードを獲得しました。商品のパワーを感じる一方、アクティブユーザーが徐々に減っていく課題もあって。その課題回避のために歩数カウントや商品購入などユーザー行動をポイント化し、プレゼントキャンペーンに参加できる仕組みなどをプラニングしました。

原 :  さらに、アプリユーザー同士でダイエットに対して共闘できるコンテンツ「特茶みんなの運動会」を実施したんです。アプリの行動ログを使って競技に参加できるアプリ内の運動会で、都道府県別の歩数リレーはじめユーザー同士が共通点を介して触れ合いながらダイエットに取り組めるゲーミフィケーション(人が楽しんだり競争するなどゲームの要素や原則をゲーム以外の分野に応用すること)型コンテンツです。

アクティブ率を大きく向上させた「特茶みんなの運動会キャンペーン」

今井 :  同時にアクティブ率は、ちょっとしたアプリの使用感でも左右されます。起動が遅いとか、使いづらいだけで生活インフラとして選ばれない。この少しのストレスも見逃さないよう、PDCAサイクルを緻密化することもチームの命題にしました。

アクティブ率を大きく向上させた「特茶みんなの運動会キャンペーン」

進化のキーワードは、サービスデザイン。進化のキーワードは、サービスデザイン。

今井 :  キャンペーンから一般リリースのアプリになることで、一番大きな意識転換は、サービスデザインとしてのプロジェクトマネジメントでした。単なるアプリ制作のチームではなく、“特茶リズム”という習慣を一緒に浸透させていく「ビジネスパートナーとして何ができるか」を常に考え続けていました。サービスデザインとは、UX(ユーザーが得る体験)そのものです。

今井 :  特にこだわったのは持続的なサービス改善に欠かせない解析です。アプリに限らずウェブサイト運営にもグロースハック(ユーザー行動データからサービスを改善する手法)は重要ですが、今回は視座を2つ3つ上げて臨みました。リリース時には一見too muchと思えるようなクラスター分析(データ全体をいくつかのグループに分類する分析手法)まで細かく実行できるツールの導入を提案しました。

今井 :  狙いは明確にあって、例えば、“特茶リズム”を実践するクラスターを絞り、その集団にとって使いやすいUI(ユーザーとサービスの接点)やUXは何だろう?どういった行動をとってどんな態度変容を起こす?生活者にずっと選ばれ続けるサービスを運営するうえで、利用者データが蓄積する2、3年後にこそ、データを活用したサービス改善が生きてくる。未来を先回りした提案こそ、サービス運営に伴走するビジネスパートナーの役割だと思ったのです。

UXは、デジタル業界から生まれた言葉だから。UXは、デジタル業界から生まれた言葉だから。

原 :  一方で僕は、サービスだろうが、ウェブサイトだろうが、アプリだろうが、UXを画策する際の意識は変わらないと考えています。これまで、キャンペーンサイトやコーポレートサイト、ブランドサイトやイベント用のVRコンテンツ、ブラウザ上でのゲームコンテンツなど色んなジャンルの仕事をしてますが。誰が、どこで、どういう風に訪れて、どんな体験をして、どこに出ていくか。という、ユーザー体験の入口から出口をプラニングする本質は、どんな仕事でもブレることはないと思っています。

今井 :  原くんのすごいところは、僕らが信頼している博報堂のクリエイティブディレクターから信頼されているところ。打ち合わせでクリエイティブディレクターと意見が別れても、自分が良いと思っている事に関しては譲らずに「良い」。と意見を曲げない。デジタルのプロとして折れずに主張できる推進力があるからこそ、信頼されるのだと思いました。

原 :  そもそもUXは僕らの業界から出てきた言葉ですよね。だからこそ、グループ会社の中でも一番業界に触れている人間としてプロフェッショナルを発揮していなければならないと思っています。

守備範囲よりも、侵攻領域を。守備範囲よりも、侵攻領域を。

今井 :  今回の仕事は「特茶をお客さまの生活習慣へ浸透させたいというクライアントの思い」と、「このアプリは楽しい、そして分かりやすい。結果として自分が持つ願望の手伝いをしてくれる。だから関与したいという生活者の思い」を結びつなげることでした。この本質を抜き出せば、アイスタの仕事というか、デジタルの仕事はどんどん面白くなると思います。

原 :  確かにウェブサイトであれ、アプリであれ「僕らがつくるものが生活者の何処にあるのか」という視点を持つことは非常に重要です。このことはデバイスやメディアの垣根なく、どんな仕事に臨むときも変わらない本質だと思います。

今井 :  その垣根がないという意識がこれからのアイスタに可能性を与えてくれていると思います。僕らはこれまで画面の中、デジタル空間のUXをメインでやってきましたが、これからは様々なモノがIoT化されてデジタル接続されていく。きっと何兆という単位でデバイスが誕生するでしょう。そうなると、すべてのモノが僕たちのタッチポイントになる。だから、僕らも画面の外へ出てパフォーマンスを発揮する領域を広げられる。その際に必要なのはサービスデザインです。

今井 :  アプリやウェブサイトをつくるだけなら、他のベンダーや制作会社も山程いるわけで。逆に言うと、Uber Eats(ウーバーイーツ)やAirbnb(エアビーアンドビー)でも結局タッチポイントはデジタルデバイスだけど、体験全体をサービスデザインしているから生活インフラになっている。それらのシステム開発はアイスタでもできるけど、大事なのはやっぱりサービスデザイン。いかにサービスデザインをできるかが大事だし、やはりサービスデザインそのものがUXだと思うんです。