誰一人取り残さない。渋谷区が目指す「誰も来ない庁舎」

渋谷区オウンドメディア戦略立案およびオウンドサイトリニューアル

CLIENT
渋谷区

OVERVIEW

日本の地方自治体行政としてあるべき姿を形にする。

東京都渋谷区は、行政手続きのオンライン化を進めるなど、DX推進に力を入れている自治体である。オンラインで行政サービスをすべて完結できる「誰も来ない庁舎」(スマートフォンやPCからいつでもどこでも、どんなシチュエーションでも行政サービスを利用できるので、庁舎に行く必要がないこと)の実現を目標として、渋谷区公式Webサイトのリニューアルを実施することになった。さまざまな不自由を抱えている人も取りこぼさず、利用するすべての人に対してサービスをスムーズに提供できることを目指していた。
渋谷区の公式Webサイトのリニューアルのプロポーザルにあたり、渋谷区は日本の地方自治体のDX化をリードする存在として、あるべき未来の姿を一緒に形にしていくことができるパートナーを探していた。博報堂アイ・スタジオは、このプロポーザルに参加し、未来型の地方自治体オウンドメディアのあり方を提案。これまで培ってきたデジタルの知見やナレッジも評価され、パートナーに選定された。

CREATIVE

すべての人が快適に利用できるアクセシビリティと、渋谷区らしいデザイン性を両立。

渋谷区は「ちがいを ちからに 変える街。」を未来像に掲げ、Webサイトにおいても誰一人取り残すことなく、年齢やジェンダー、国籍などその人の背景に関わらず、すべての人が快適に利用することを目指している。
Webサイトをリニューアルするにあたって、よくWebサイトを利用する人だけでなく、仕事で使う人、障害を持つ人、日本語を母国語としない人、福祉サービスを必要とする人など、さまざまなペルソナを策定。どこで接点を持ち、どのように行動するか、それぞれのカスタマージャーニーを描き、必要とされるサービスの機能や情報についてディスカッションを重ねた。また、実際に不自由を抱えている方にもヒアリングを行った。
そしてそこから、誰もが求める情報にスムーズにたどり着き、手続きを行い、サービスを享受できる自治体オウンドメディアのあるべき姿を「マルチインデックス型オウンド」と定義。渋谷区が運営するメディアの特性を生かした情報発信や機能を再設計し、あらゆる生活者の環境に合わせたサービス提供を実現することとした。また、さまざまなメディアやタッチポイントからより詳細な情報を求めてオウンドサイトに訪れた場合も、スムーズに求める情報にたどり着けるUX/UIを目指した。

サイトのUIは、アクセシビリティとデザイン性の共存をテーマに、直感的に理解できる独自のピクトグラムを制作。多様な人が行き交い、スタイリッシュで先進的なイメージがある渋谷の街を線の交わりや色で表現しつつ、視認性などのアクセシビリティを確保したユニバーサルデザインを実現した。
また、サイト構築にあたっては、他システムとの連携や将来性、拡張性などを踏まえ、バックエンドとフロントエンドが分離したヘッドレスCMSを採用。これまでそれぞれのページを更新していた問い合わせ先などの情報を一元管理できるようになった。旧サイトからのページ移行は、当初予定していたツールでは対応できないことが発覚したため、スクレイピングツールとCMS自動投入ツールを独自開発することでスピーディーな移行を実現。約3,000ページを一晩で移行し、工数を大幅に短縮することができた。

VALUE

職員の負荷を軽減し、利用者の利便性や満足度も向上。

リニューアル後、渋谷区には「前のほうが良かった」という声はほぼなく、「前より見やすくなった」「わかりやすくなった」など好意的な声が寄せられている。また、ヘッドレスCMSを採用して情報の一元管理が可能になり、組織変更などの情報の更新漏れなど人為的なミスを防いでいる。渋谷区では、わかりやすい情報発信とデジタルツールの活用によって、職員の負荷を軽減し、区民をはじめとした行政サービス利用者の利便性や満足度の向上につなげる取り組みを続けている。
アクセシビリティとデザイン性が共存したUX/UIの評価も高く、「2023年度グッドデザイン賞」を受賞。特に高い評価を受けたデザインに贈られる「グッドデザイン・ベスト100」にも選出された。また、「2023 63rd ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」のデザイン部門においても「ACCシルバー」を受賞した。
今回のプロジェクトは、デジタル領域のプロフェッショナルである博報堂アイ・スタジオが、「自治体のDX化を推進する存在」である渋谷区のパートナーとして協業できたからこそ、作り上げることができた。今後も渋谷区のパートナーとして「誰も来ない庁舎」の実現を目指すとともに、DX推進に取り組む自治体のサポートをしていきたいと考えている。

RESULT

  • 2023 グッドデザイン賞:グッドデザイン・ベスト100
  • 2023 63rd ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS:デザイン部門 - ACCシルバー

STAFF

更新

  • Account/Executive Producer/Communication Planner

    Kazuhiro Hara

  • Account/Producer

    Akiyoshi Honda

  • Communication Planner/Grand Architect

    Daisuke Ikuta

  • Technical Director

    Toshiya Suzuki,Tomoko Takiguchi,Yoshihiro Ito

  • Frontend Engineer

    Naoto Tanaka,Sora Suzuki,Nana Taguchi

  • Infrastructure Engineer

    Risa Kawamura

  • Analyst

    Noriko Oda

  • Verifier/Security Director

    Satoru Yoshida

  • Accessibility Tester

    Yuko Yamanaka

  • Contract Compliance Officer

    Chieko Nagashima

  • Project Management Officer

    Nobuyuki Nagai

  • Director

    Kohei Okumura

  • Assistant Director

    Hanjun Bae

  • Account/Supervisor

    Takumi Sato

  • Supervisor

    Hiromitsu Sakate

  • Test Director

    Hiroyuki Shizuno