PROJECT当たり前に噛みつく。大阪の、おすすメトロ「オオサカマニア」大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)PROJECT当たり前に噛みつく。大阪の、おすすメトロ「オオサカマニア」大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)

数多く存在する大阪のお出かけサイトや情報誌とは一線を画し「深く、濃く、誰も知らない」をコンセプトに、偏愛性の高いテーマをセレクトすることでユニークな記事を掲載した全く新しい情報サイト「オオサカマニア」。関西圏の人々をターゲットに地元民でさえ知らないマニアックなテーマや情報を盛り込んだ記事コンテンツを企画し、これでもかという数のあらゆるスポットを紹介することで大阪への本気愛を反映させたサイトだ。

左:テクニカルディレクター 阪中(2019年入社)
中央:プロデューサー 小島(2015年入社)
右:アートディレクター/インタラクティブディレクター 竜沢(2012年入社)

PROLOGUE

2018年に民営化されたOsaka Metroが、「大阪の新たな魅力を発信する」プロジェクトをスタートした。その中で企画されたのが、大阪のマニアックなテーマのスポットを発信するWebサイト「オオサカマニア」だ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けながらも、「大阪の新たな魅力を発信する」サイトとして、関西博報堂とアイスタはタッグを組んで制作に取り組んだ。当時の挑戦をプロジェクトメンバーに語ってもらった。

左:テクニカルディレクター 阪中(2019年入社)
中央:プロデューサー 小島(2015年入社)
右:アートディレクター/インタラクティブディレクター 竜沢(2012年入社)

大阪への「偏愛」を<br>カタチに。大阪への「偏愛」を<br>カタチに。

竜沢 :  オオサカマニアのプロジェクトに参加したのは、関西博報堂のクリエイティブディレクター(以下CD)から競合案件があるから手伝って欲しい、と声をかけられたことがキッカケです。以前に仏像の表現を科学するプロジェクト「奈良大学 Buddience」を一緒に作ったCDで、そのつながりでアートディレクター(以下AD)として競合プレゼンから関わりました。
クライアントはOsaka Metroで、テーマは主に関西に住んでいる人に向けて、大阪の魅力を発信する施策の提案でした。

小島 :  街情報の発信サイトはすでにたくさんあるので、同じようなことをしても埋もれてしまいます。そこで「偏愛」をキーワードに、マニアックなテーマのスポットを発信するサイトを作ろう、というベースの考え方はすでにありました。そこから、「偏愛」を元にした情報発信を具現化するデザインやシステムについて、細かく詰めていきました。

竜沢 :  競合プレゼンではカンプも作り、無事に勝って制作できることになったのですが、提案したデザインよりも、もっと大阪らしい雰囲気を出していくべく、CDを中心としてコンセプトから表現までさらに磨き上げていきました。
あらゆるものが混在して雑多だけどパワフルで元気になる、そんな大阪らしさの表現を改めて追求しました。

小島 :  競合プレゼンに勝つとうれしくて達成感がありますが、実はゴールではなく、ここからがスタートなんですよね(笑)。

大阪らしさ、魅力を表現したイラスト

マニア心をくすぐる記事が定期的に更新されている

マニア度が高いほど、大阪の地元民でさえ知らないような情報が特集されている

大阪らしいアクの強さを<br>表現するには?大阪らしいアクの強さを<br>表現するには?

竜沢 :  オオサカマニアのロゴは、大きな方向性をいくつか提案し、合意できたらパターン違いで何種類も作って提案しました。トータルでは100案くらい考えましたね(笑)。
大変でしたが、クライアント、博報堂のCD、そしてアイスタチームで当初はバラバラだった「大阪らしさ」「マニアっぽさ」のイメージが、この提案プロセスでお互いにすり合わせることができました。そのおかげで、その後のイラストやサイトデザインの方向性も、大きくブレることなく進めることができました。

小島 :  大阪らしいインパクト、良い意味でのアクの強さを出していく方向になり、イラストもその方向性にあったテイストを持つイラストレーターさんに発注しました。書き込みすぎて完成度を高めるよりも、あえてゆるい雰囲気を残し、肩の力が抜けた感じが出るようにお願いしました。

竜沢 :  どのモチーフをどんな構図で描くのか、その指示出しはこちらでしなければならないので、モチーフ探しは毎回悩みました。すべてのイラストにはモチーフと一緒にOsaka Metroの車両を小さく描いているのですが、地下鉄の会社が運営していることが直感的にわかるように、地下鉄に乗っておでかけに行く雰囲気が出るように、入れています。あと、大きなイラストの横に小さな別のモチーフのイラストがあると、シンプルにカワイイですよね(笑)。

情報の数ではなく、<br>ひとつひとつの質に価値がある。情報の数ではなく、<br>ひとつひとつの質に価値がある。

竜沢 :  サイトのUIは、情報サイトとしては後発なので、よくあるポータルサイトのようにまとめると面白くないと考えました。情報の数がたくさんあることが価値ではなく、読み応えがあってマニアックなひとつひとつの記事に価値があることを伝えようと、大きな写真を使って各記事ページへの入口を広く取りました。自信を持って記事を見せることにこだわりましたね。

阪中 :  僕はエンジニアとして関わったのですが、それぞれの記事から店やスポットの紹介があり、さらにその店やスポットがある路線と駅が表示されるように、CMSで管理しています。それぞれがひも付いて表示できる仕組みにしているのですが、今後はクライアント側でも新たな記事の作成から更新までできるように、運用しやすいことにこだわって作りました。
また、CMSで管理していることがすぐにわかるような作りになっているサイトが多いのですが、そこはCMSっぽくないサイトにしたいと最初から考えていて、ページの遷移にアニメーションを使ったり、ニッチな技術をあちこちに散りばめています。ぜひ細かいところも見てほしいですね。

小島 :  実は途中でコロナ禍が深刻になり、緊急事態宣言が出ていたことによって制作がストップしてしまいました。「このまま公開予定日に間に合うのか」という不安が押し寄せ、一時制作へのモチベーションも下がってしまいました。
しかし、クライアントであるOsaka Metroは、企業理念として「大阪から元気を創りつづける」という強い信念を持っています。そこで改めて、「オオサカマニアが、大阪の活力を作り、コロナに負けずに大阪を元気にする一助になる」と意識を転換し、制作へのモチベーションを取り戻しました。2020年10月公開が改めて決定したときは、オオサカマニアがマニアックなスポットをメジャーにして、大阪を元気にするお手伝いが少しでもできれば、との思いを持って制作に取り組みました。
だからこそ、ローンチ後にSNSなどでユーザーの反応を見たら、「動きがスムーズで使いやすい」「Osaka Metroっぽくなくて良い」「紹介されていたスポットに行ってみたい」と、こちらが意図していた通りの声がたくさんあって、すごく達成感を感じましたね。

竜沢 :  もともとロゴやイラストは、Webサイトだけではなく他媒体やグッズにも展開することをイメージしながら作りました。オオサカマニアを告知する駅ナカ広告のモチーフになったり、ユニクロとコラボしたTシャツやトートバックが販売されたり、狙い通りに評価されて広く展開されたこともうれしかったです。

ユニクロ×オオサカマニアのコラボグッズ売り場の様子

ユニクロ×オオサカマニアのコラボグッズ売り場の様子

自分たちのアイデアを<br>世に発信できる醍醐味。
自分たちのアイデアを<br>世に発信できる醍醐味。

小島 :  僕はアイスタに新卒で入社したとき、依頼されたことを作る会社、というイメージを持っていたんですよ。しかし今は、依頼されたことをそのままやるのではなく、必ずプロジェクトメンバーで議論を重ねて、クライアントとユーザーの両方を意識しながら より良いアウトプットを作り出す姿勢が徹底している、と感じています。

阪中 :  僕は中途採用なのですが、入社1年目でオオサカマニアを担当しました。入社間もないのに、影響力のある大きなプロジェクトに関わることができて、アイスタに入社して本当に良かったと思いました(笑)。
また、アイデアを実現するための技術を自分たちで選定できることも、アイスタならではのやりがいです。モックを作って検証しながら、新しい技術を使ってゴールに向かうことができるのは、自分の成長にもなるし、会社の知見にもなると感じています。オオサカマニアで経験したことを、これからのプロジェクトで活かせる日が楽しみです。

竜沢 :  2人に言いたいことを先に言われてしまった(笑)。同じような話になりますが、クライアントも博報堂も目指すところは一緒なので、それが実現できれば手段を選ばずにアウトプットを作ったり、必要に応じて外部とコラボできたり、制作の自由度が高いので楽しみながら仕事ができます。そうして自分たちで考えたものが、広告というフィルターを通して世に発信できることも魅力。オオサカマニアはまさにそんな仕事で、自分たちで考え抜いた制作物が、広く展開されていく様子を目の当たりにできました。アイスタだからこそ経験できたことだったと思います。

※2022年3月時点での情報です。