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デジタルマーケティング担当者必見!生活者に刺さる“コンテンツマーケティング”って?

原 一弘(ビジネスプロデューサー)
2025-07-23
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「君、明日からデジタルマーケティング部門担当ね」と言われたあなたへ

ある日突然、こんな風に言い渡されて、頭が真っ白になっていませんか?

「自社のサービスや商品を、デジタルでプロモーションしてほしい」と言われても、Web広告、SNS、SEO、オウンドメディア…と、よくわからないカタカナやアルファベットの言葉ばかり。何から手をつければいいのか、何が自社にとって正解なのか、さっぱり見当がつかない…。

そんなあなたの心の叫びが聞こえてくるようです。

ご安心ください!!

私たちプロフェッショナルも、日々アップデートされる新しい手法や用語のキャッチアップに苦戦しております(笑)。

上記のように、デジタルマーケティングの打ち手は無数にあります。皆様が抱える課題に対して、それらを最適に組み合わせることがデジタルマーケティングの世界では重要です。

この記事では、長期的に会社の資産となる「コンテンツマーケティング」という考え方と実践方法について、解説します。

コンテンツマーケティングって、そもそも何?

では、コンテンツマーケティングとは一体何なのでしょうか?

…と、その説明に入る前に、少しだけ皆さんの普段の情報探索行動について振り返ってみましょう。

あなたも無意識に体験している「コンテンツマーケティング」

例えば、あなたが「先日友人と一緒に行ったキャンプが楽しかったので、自分でもギアを揃えてみたい」と思い、「キャンプ おすすめ ギア」と検索したとします。
すると、あるキャンプのシーンが掲載された記事がヒットしました。そこには、テントやランタン、調理器具などが、楽しそうな写真付きで詳しく紹介されています。

「へぇ、この焚き火台、コンパクトで使いやすそうだな」
「このブランドのチェア、座り心地が良いのか」

あなたはすっかりその記事に夢中になり、紹介されているギアが欲しくなってきました。記事を読み進めると、筆者がキャンプ場へ向かう際に乗っている、カスタマイズされたカッコいいSUVの写真が目に留まります。

「うわ、このクルマ、荷物もたくさん積めるし、何よりデザインが良いな。自分のクルマもこんな風にカスタムできないかな…」

いつの間にか、あなたはキャンプギアを探していたはずが、特定の自動車ブランドのカスタムパーツについて調べていました。

…もうお分かりでしょうか。これこそが、コンテンツマーケティングの基本的な仕組みです。

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商品そのものを直接検索させるのではなく、ユーザーの興味・関心(この場合はキャンプ)を入口として、有益な情報(おすすめギアの紹介)を提供することで信頼関係を築き、自然な流れで自社の商品・サービス(SUVやカスタムパーツ)の魅力に気づかせる。

これが、コンテンツマーケティングの考え方です。どんなキーワードで、どんな情報に触れてもらい、最終的にどう行動してほしいか。この「ユーザーの心の動き」を設計することが、成功の鍵となります。

コンテンツマーケティングで得られる「効果」とは?

このようにユーザーと自然な形で関係を築けるコンテンツマーケティングですが、この手法を取り入れると、企業にとって具体的にどんな良いことがあるのでしょうか。

1. 商品が持つ「本来の価値」が伝わる

「この商品、実はこんな使い方ができるのに、全然知られていない…」
「このサービスの本当の良さは、スペック表だけでは伝わらないんだよな…」

作り手なら誰しもが抱える、そんなもどかしい想い。コンテンツマーケティングは、その想いを解決します。商品の開発秘話や、お客さまの利用シーンといった「物語」を伴ったコンテンツを通じて、商品が持つ本来の価値や魅力を、押し付けがましくなく、深い文脈で伝えることができるのです。

2. 多様な趣味趣向を持つ「未来のお客様」にアプローチできる

先ほどの例のように、ユーザーは必ずしも「商品名」で検索するわけではありません。むしろ、自身の趣味やライフスタイルに関連するキーワードで検索することの方が圧倒的に多いでしょう。

自社の商品が、どのような人の、どのような生活シーンで活躍するのか。そのイメージをコンテンツとして具体的に提示することで、これまで接点のなかった多様な趣味趣向を持つ「未来のお客様」にアプローチし、購買意欲を自然に高めることができます。

3. 会社の「信頼」という名の資産になる

広告は出稿を止めれば効果も止まってしまいますが、良質なコンテンツはWebサイト上に残り続けます。一度作成すれば、24時間365日、あなたの会社のために働き続け、見込み客を連れてきてくれる「資産」となるのです。また、専門性の高い情報を発信し続けることで、業界内での専門家としての地位を確立し、「〇〇のことなら、あの会社に聞こう」という第一想起を獲得することにもつながります。

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コンテンツマーケティング、どうやって始めるの?

商品価値が伝わり、未来の顧客ともつながれる。
これほど多くのメリットがあるコンテンツマーケティングを実際に始めるには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。

私たちは下記の5つのステップを推奨しております。

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01:まずは、戦略策定パート。
ここでは、「なぜコンテンツマーケティングをやるのか」「この施策を何のために実施するのか」を設定します。
“目標”を定め、”KPI”を決めることで、どういう状態になることを目指すか、量的に精緻化するパートです。
それらを正しく定めることで、以降のステップにおいてブレの無い進行を可能にします。

02:続いてコンテンツ企画パート
コンテンツ企画のパートでは、01で定めた戦略に最適なコンテンツの方針を定めます。上の例で言うと、「SUVの商品をアピールをするために、キャンプギアのひとつとしての価値を訴求しよう」ということを定めるパートになります。
また、キーワード調査や競合調査など、記事を効果的に配信するための事前データの準備や、ペルソナ策定(=読む人がどのような人かを定義する行為)やカスタマージャーニー(=購買行動に至るまでを時系列で可視化したもの)の作成なども行います。
より効果的な施策を立案するために「カスタマージャーニーマップの作り方と活用法」も参考にご覧ください。

03:コンテンツ開発パート
このステップでは、実際にどんなタイトルで、どんな見出しで記事を作成していくか、その情報の流れや読み味などを定義する「アウトライン作成」を行った上で、具体的な文章のライティングを行っていきます。ときには、図表やイラストなども活用することで、読みやすさ・理解のしやすさなどを最大化していくパートです。
クリエイティブ力の見せ所ですね。
また、できあがったコンテンツは「編集」「校閲」「校正」のパートを踏み、できあがっていきます。

04:配信パート
できあがった記事をWebページとして開発していきます。
また、SNSや広告(バナーやリスティング広告など)にも同時に配信するなど、情報を「点」としてではなく、網のように張り巡らせていくことで、幅広くさまざまな人に情報を伝えていくことを可能にします。

05:検証・PDCAパート
コンテンツを配信したら、その結果をしっかり見ていくことも非常に重要です。
01で定めた戦略で狙ったとおりにKPIを達成しているか、うまく行っていない部分は何か、など、インターネットに数多ある情報の中から、自分たちのコンテンツが生活者にとって価値のあるものになるよう、量的に評価を行い、改善を行っていきます。
コンテンツマーケティングは、継続することが重要です。
「コンテンツマーケティング実践、書き続けられるコツとは」も参考にしてみてください。

焦らないで、まずは第一歩から

ここまで読んで、「やることが多くて大変そうだ…」と感じたかもしれません。しかし、最初から完璧を目指す必要はありません。コンテンツマーケティングは、短距離走ではなく、時間をかけて顧客との信頼関係を築いていく長距離走です。

まずは、あなたの会社の顧客が最も悩んでいるであろう課題をひとつだけ選び、その解決策を提示する1本の記事を作成することから始めてみませんか。その小さな一歩が、未来の大きな成果へとつながっていくはずです。

私たちがお手伝いできること

そうは言っても、何から手をつければ良いか分からなかったり、日々の業務の中でリソースを割くのが難しかったりすることもあるかと思います。

「流れは分かったけど、これを全部やるのは大変そう…」

そう感じた方も、どうぞご安心ください。私たち博報堂アイ・スタジオは、デジタルコミュニケーションのプロフェッショナルとして、コンテンツマーケティングの戦略策定から実行まで、一気通貫でサポートしています。

また、今回はインターネット上にインデックスされやすい(=Webサイトやページの内容が検索エンジンのデータベースに登録され、検索結果に表示される状態になること)記事コンテンツでのマーケティング手法をご紹介しましたが、動画やマンガなど、ペルソナによっては、より情報をインプットしやすい形式でコンテンツを作っていくことも可能です。

私たち博報堂アイ・スタジオでは、上記のように、お客さまの課題やターゲットに合わせて、最適なコンテンツの形をご提案し、制作することが可能です。

まずは、皆さまが伝えたい商品やサービスの魅力について、私たちに聞かせていただけませんか?一緒にお客さまの心を動かすコンテンツを作り、ビジネスを次のステージへと進めるお手伝いができれば幸いです。

執筆者
原 一弘(ビジネスプロデューサー)
2012年入社 千葉県出身
博報堂の著名クリエイターとの、マス連動型キャンペーンやデジタル施策の実績多数。自身もプランニングに強みを持ち、さまざまなクライアントのプロジェクトに従事。近年は、クライアント企業のサービス開発などを手掛けている。
編集者
柴田 翔太(コミュニケーションプラナー)
2019年入社 神奈川県出身
クライアント企業の課題やニーズに伴走型で答えながら、統合コミュニケーションの全体設計・企画を立案することを得意とする。特に、ゲームやたばこなどコアなファンが存在する商材におけるコミュニティ活性化施策の実績多数。