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社員同士をつなぐコーヒーサーバー。その一杯から広がる“輪”と、社会貢献に向けた想い

柳田 慶太
2025-10-17
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博報堂アイ・スタジオ(以下、アイスタ)のリフレッシュラウンジ「でかにわ」に置かれているふたつのコーヒーサーバー。今ではすっかり当たり前になったコーヒーの無料提供サービス、実はその導入や豆の選定の裏側には、ちょっとしたこだわりがあるのです。

本稿では、普段知ることのできない裏話を通して、日々の何気ない一杯に込められた想いをご紹介します!

オフィスでの一杯

でかにわには2台のコーヒーサーバーが設置されており、1日につき一杯までコーヒーを無償で提供しています。ありがたいことに、1日あたりおよそ100名ほどの社員に利用していただいています。定期的に豆の味を変え、絶えずアップデート。意外にも、アイスタでは苦みの強い味が人気なようです。

導入への想い

コーヒーサーバーはもともと、受付に設置されていました。
これは当初、クライアント企業のご担当者さまやお客さまとの打ち合わせの際に使用する「来客向け」の用途のみを想定していたため。現在は場所を移して増設、全社員向け福利厚生として、多くの社員に利用いただいています。

このように状況が変わったのは、新型コロナウィルスの流行がきっかけでした。

パンデミックの影響を受け、アイスタではリモートワークを積極的に呼びかけ、出社する社員の数を大幅に減らしました。しかしその対応と同時に、社内は活気を失いどこかもの寂しい感じに。当時社内に3つあった喫煙ブースも一気に利用者が減ったので、ある日、とうとうブースを減らしてコストを削減することが決まりました。

その後、浮いた予算を使って、「社員のためになにかしよう!」という話が持ち上がるようになりました。
そこで採用されたアイデアが、福利厚生としての「コーヒーの提供」。

「日々の業務に向き合う社員のために、なにかできないだろうか?」

・・・という想いのもと、来客向けのサービスとして受付に設置されていたコーヒーサーバーを、社員用に増やすことにしました。

どこかもの寂しくなった社内で、いつか社員が戻ってきたときに楽しいコミュニケーションの場になってほしい…。そんな期待を込めてのチャレンジでした。

コーヒーサーバーを増設したことで、社員の好みによって豆の種類を選べるようにしました。また、利用量の少ない豆の種類を定期的に入れ替え、できるだけ社員の好みに寄り添える運用を心がけました。これが現在の提供サービスの源流です。

現在アイスタでは苦みが強くパンチの効いた「エスプレッソブレンド」が人気で、すっかり定番化しています。もう一種類の豆は、シーズンに合わせて「ハウスブレンド」や「エチオピアブレンド」、「グアテマラブレンド」など、定期的に種類を変えています。

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こだわり:一杯に込められた想いとは

実はこのコーヒーサーバー、「ウェルビーイング」や「SDGs」といった観点において、大きく3つの役割を果たしているんです!

日々の業務の心強い味方

クリエイティブな業務のなかで、「発想」を大切にしているアイスタ社員たち。
より活き活きとしたアイデアを出せるよう、カフェインでリフレッシュするひとときを重視しました。毎日を頑張る社員を陰で支えたいという、ささやかな期待を込めてのことです。

社員同士をつなぐ場に

コーヒーサーバーが増設された当時は、新型コロナウィルスの蔓延によって、世界中の多くの人が社会的なつながりから切り離された時期でした。アイスタにおいても出社は原則控えるように喚起され、社員はオンラインでの業務を余儀なくされたのです。当時のこうしたリモートワーク推進による「対面でのコミュニケーション不足」は、業務のなかでチームワークを大切にするアイスタでも大きな問題になるのでは、という強い危機感がありました。

「テレワークでもミーティングはできるけど、顔を合わせてお互いの想いを分かち合うことは、よりよいチームワークを作るはず…!」

と、私はリモートワークの風潮が広がるなかでも、対面形式の業務の在り方には大きな価値を感じていました。そこで、コーヒーサーバーが、いつか戻ってきた社員同士を再びつなぎ合わせる「コミュニケーションの装置」として活躍できるのではないだろうかと考えました。現在でもコーヒーサーバーの周りは、社員同士が立場や部署の垣根を超えてあいさつや会話をかわす交流の空間となり、ただ「休息を取る場所」という枠を超えた重要な役割を担っています。

一杯のコーヒーから、「あ、〇〇さん!」なんて社員同士コミュニケーションの輪が広がっていく、そんなよくある日常の瞬間も、運営の立場としてはうれしい光景です。

SDGsへの配慮

アイスタでは環境や生産者に配慮したブランドを検討・購入しています。

購入先として、生産国や生産者への継続した経済的サポートに寄与する取り組みに賛同している業者を選定。「持続可能な社会の実現に貢献していきたい」という私の想いに適うコーヒー豆を発注し導入しています。現在アイスタで扱っているのは「グアテマラブレンド」。豆の選定にあたっては、これからも環境や人権といった社会全体への影響に配慮していきたいと思っています。

このように、アイスタのコーヒーサーバーは、会社や社会といったさまざまなフレームに貢献しながら、日々前向きにがんばる社員の皆さんに寄り添っているわけです。

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見えた課題、よりよいコーヒー体験のために

運営を進めていくうちに、いくつか課題も浮き彫りになってきました。

たとえば「アイスコーヒーがほしい!」、「カフェラテが飲みたい!」といった社員からの要望は、製氷機の導入やミルクの管理といった点でハードルが高く、一朝一夕の解決を図るのは難しいのが現状…。運営としては、こうした社員の声に応えるためにどのようにアプローチしていくかが、喫緊の課題であるといえます。

また、今後は社員のよりよいコーヒー体験を実現するべく、豆や味の「人気投票」を通じて、意見を可能な限り反映していく取り組みを視野に入れています。

さらに「持続可能な社会」の実現を見据えて、「フェアトレード認証」されたコーヒー豆を積極的に導入したいと思っています。

「ただコーヒーを飲むための場所」に終わらせず、社員にも社会にもやさしい運営を心がけていくことで、もっと多くの社員に利用してもらえる場づくりができればなと考えています。

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おわりに

運営していく上で大切にしていることは、利用者全員に「きもちよく」「たのしく」使ってもらうという心掛け。コーヒーサーバーは週に1度、丁寧なメンテナンスを行っていますが、社員の声にどう応えていくかなど、よりよい運営のための課題はまだまだあります。

目指しているのは、社員と共に成長していくコーヒーサーバー。

社員同士の輪を広げるコミュニケーション場になりながら、会社や社会にますます貢献していくことを目指します。今後も「運営としてできることは何か」を模索し続け、サービスをより一層アップデートしていきたいと思います。


執筆者
柳田 慶太
2015年博報堂アイ・スタジオ中途入社。総務としてファシリティ管理、購買、庶務、福利厚生、入札対応、防災・BCPまで幅広く担当。「より良い職場環境づくり」を目指し、福利厚生の一環として社内イベントの運営なども行う。