1. Webサイト運用・改善でこんなお悩みはありませんか?
長期間に及ぶ改修の末、Webサイトのリニューアルとローンチは完了したものの、公開後の具体的な施策が未定で、日常の運用における改善の方向性を見失っている状況はありませんか。
あるいは、現行のWebサイトがテンプレートやCMSによって構造が固定化されており、更新できる範囲が限られていたり、デザインや構造を改変できず、柔軟な対策を講じることができないといったケースもあるでしょう。
その結果、日々の運用の中でCVR(コンバージョン率)が低迷しているものの、具体的な改善策を打ち出せていない、という課題に直面していないでしょうか?
その原因は、サイト訪問者一人ひとりの状況が見えず、画一的なアプローチしかできていないことにあるのかもしれません。

本記事では、筆者が実際に取り組んだ事例も織り交ぜながら、こうした課題を解決する強力なアプローチとして、 Web接客ツールを活用した実践プロセスを、その目的と具体的な「やり方」に焦点を当てて解説していきます。
2. Web接客ツールとは?
まず、「Web接客ツール」は単なるポップアップやチャット機能ではありません。SEO施策で集客した後の実行部隊として「Webサイト上で顧客一人ひとりの状況に合わせてリアルタイムなコミュニケーションを行う」ためのツールであり、Webサイトの成果を最大化するための「手段」です。
標準的な機能は、大きく「ユーザーへのアプローチ機能」と、それを支える「分析・設定機能」に分けられます。

3. Web接客ツールの「目的」とは? なぜ導入するのか
これらの機能(手段)を使って、Web接客は主に3つの目的を達成するために導入されます。
主な利用目的は、大きく3つに分類されます。
3-1. Webサイトの成果(CVR)を最大化する
Web接客の最も重要な役割のひとつが、Webサイトの成果、特にCVRを最大化することです。これには、ユーザーの迷いを解消し、購買や申し込みを促進すること、ECサイトなどでのカゴ落ち(カート離脱)を防ぐこと、そしてWebサイトからの離脱や直帰を防止し、回遊率を高めることなどが含まれます。
3-2. 顧客体験(CX)を向上させる
画一的な情報提供だけでは、顧客の心をつかむことは困難です。Web接客は、一人ひとりに寄り添う体験を提供し、顧客体験(CX)を向上させる目的でも利用されます。代表的な例として、疑問や不安をチャット機能で即時解消することや、訪問者の属性や行動履歴に合わせてパーソナライズされた情報提供を行うことなどが挙げられます。
3-3. マーケティング施策の「連携ハブ」となる
3つ目の目的は、Web接客が単体で機能するのではなく、他の施策と連携してこそ真価を発揮する「ハブ(中継地点)」としての役割です。例えば、MAとの連携では、Webサイトの外(メールなど)で育成した見込み客がWebサイトを訪れた際に、その熱量を逃さずコンバージョンにつなげるための「おもてなし」の役割を担います。 また、CRO(コンバージョン率最適化)との連携においては、ページ全体のA/Bテストとは異なり、ページ内で迷っている、あるいは離脱しようとしている「個客」の動きをリアルタイムで察知し、直接的に働きかけることが可能です。

4. 実践プロセスで解説!Web接客
目的を達成するために、具体的にどのようなステップで進めるのかを、筆者が経験したプロジェクトを例に解説します。
4-1. 【分析】ボトルネックの発見と目的の明確化
Web接客の成果を出すために、導入「前」あるいは導入「直後」の分析が最も重要です。
ある学校のWebサイトリニューアルにおいて、入学促進(CV)をKGI(最終目標)に設定していました。このとき、Web接客ツールを活用することが決まっていましたが、単にツールを導入するのではなく、リニューアル前からサイト分析を行い、「どのページがCVR向上に寄与するか」「ユーザーはどのような経路で迷うか」を徹底的に洗い出しました。
その結果、「料金・コース紹介ページでの滞在時間が長いユーザー」や「申し込みフォームで特定の項目で手が止まっているユーザー」がボトルネック(機会損失)になっていると仮説を立てました。

まず、Webサイトの現状を分析し、課題を特定する「ボトルネックの特定」から始めます。
多くのWeb接客ツールは、設置されたタグを通じてWebサイト訪問者の行動を詳細に分析(トラッキング)する機能を持っており、その解析レポートを活用します。ツールによっては、Webサイト全体のどこがボトルネックになっているかを可視化する強力な分析機能(ヒートマップやファネル分析など)を搭載しているものもあります。これにより、「どのページで」「誰が」「なぜ」離脱しているのか、CVRの低いボトルネックとなっているページを特定します。(※もちろん、Google Analyticsなどの外部ツールと併用することも有効です)
次に、この分析結果に基づき、「目的とKPIの設定」を行います。「何のために(目的)」「どの数値を(KPI)」改善するのかを明確に定義します。
このように分析から、「資料請求のCVR向上」を目的とし、「料金ページの離脱率を10%改善」や「フォーム入力完了率を5%改善」をKPIに設定する、といった具合に、目的が具体的であるほど、取り組むべき施策の洗い出しがしやすくなります。

4-2. 【導入】ツールの設置と環境構築
分析と目的設定が完了したら、次は「Web接客ツールの設置」です。目的と予算に合ったツールを選定します。 導入が決まったら、Webサイトの対象ページに指定された「タグの設置」を行います。 さらに、MAやCRM(顧客管理システム)など、既存のマーケティングツールと「外部ツール連携」の設定を行うことで、より精度の高いパーソナライズを実現できます。
4-3. 【実行】ターゲットとシナリオの設定
ツールを導入したら、いよいよ施策の実行です。分析結果に基づいて具体的な施策(シナリオ)を、管理画面で設定していきます。
設定の軸は「誰に」(ターゲット)と「何を」(シナリオ)です。
ターゲット設定(「誰に」)としては
「初回訪問のユーザー」
「特定のページ(例:料金ページ)に30秒以上滞在しているユーザー」
「Webサイトから離脱しようとマウスを動かしたユーザー」
あるいはMAと連携して「検討フェーズが●●のユーザー」といった条件が考えられます。
シナリオ設定(「何を」)は、このターゲットに対して実行するアクションです。
料金ページで離脱しようとしている
→『導入事例はこちら』のポップアップを出す
カゴ落ちしそう
→『今だけ使える限定クーポン』を表示する
高額商材ページを表示
→『チャットで相談しますか?』のウィジェット(アイコン)を表示する
BtoBの特定業界向けページを表示
→ その業界専用のセミナー情報を案内する
など、目的に合わせた多様な施策が可能です。
4-4. 【改善】PDCAサイクルを回す
Web接客は「設定して終わり」ではありません。実行したシナリオが、設定したKPIを達成しているか(Check)、効果を定期的に分析する必要があります。そして、成果が出た施策は継続・横展開し、出なかった施策はメッセージの文言やデザイン、表示のタイミングなどを改善(Action)します。
この「PDCAサイクル」を回し続けることが、成果を最大化するために大事なプロセスです。
5. まとめ
Web接客は、点在しがちなマーケティング施策を有機的につなげ、CXを最大化する「ハブ」としての役割を担う、デジタルマーケティングに不可欠な存在です。
もし、自社WebサイトのCVRに伸び悩みを感じているのであれば、まずは「分析(ボトルネック発見)」から始め、次に「どの数値を改善したいか」という「目的設定」を行い、そして小さな「シナリオ設定・PDCA」を回すことからWeb接客を試してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、日々の業務の中で「分析やシナリオ設定に割くリソースがない」「どのツールを選定し、どうPDCAを回せば成果が出るのか判断が難しい」といった新たな課題に直面することも多いかと存じます。
アイスタは、デジタルマーケティングに関する豊富な知見と実行経験に基づき、Webサイトの現状分析から具体的な施策実行、その後のPDCA運用までを一貫してサポートしています。
Webサイト上の「おもてなし」が、デジタルマーケティングの成果を大きく左右します。もし具体的なご相談や、一歩進んだサイト改善にご興味がございましたら、ぜひお気軽にお声がけください。







