UIとUXの違いと重要性
UI/UXという言葉を正しく理解することが、改善の第一歩です。なぜUI/UXがWebサイトの成果向上に必要なのか、その基本から解説します。
- UI(ユーザーインターフェース)とは?ユーザーとの「接点」 
 UIとは「User Interface」の略で、ユーザーと製品・サービスとの「接点」のすべてを指します。Webサイトにおいては、レイアウト、ボタンのデザイン、文字フォントなど、ユーザーが視覚的に認識し、操作する要素全体がUIにあたります。
- UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?ユーザーの「体験」 
 UXとは「User Experience」の略で、ユーザーがある製品やサービスを通じて得られる、すべての「体験」を指します。単に「デザインがおしゃれ」といった部分的なものではなく、「情報を探しやすい」「問い合わせがスムーズにできた」といった一連の体験すべてがUXです。UIは、優れたUXを構成するための重要な要素の1つと位置づけられます。
- なぜUI/UXの改善がコンバージョン率向上に必要なのか 
 優れたUI/UXは、以下の3つの理由からビジネス成果につながります。- 離脱率の低下: 使いにくいWebサイトはユーザーのストレスとなり、離脱の原因となります。直感的な操作性は離脱率を下げ、CVRを高めます。 
- ブランドへの信頼感と満足度の向上: 「このWebサイトは使いやすい」という快適な体験は、満足度を高め、企業のブランドイメージ向上に貢献します。 
- ファンの育成: 良いUXはユーザーの再訪を促し、推奨につながります。UI/UXの改善は、短期的な成果だけでなく、長期的なファンを育てる投資です。 
 
- デザインが信頼を生む心理的背景とデータ 
 「使いやすいWebサイトは信頼できる」という感覚は、心理学的な根拠に基づいています。- ハロー効果:「企業の顔」としてのWebサイト 
 ハロー効果とは、1つの目立った特徴が全体の評価に影響を及ぼす心理現象です。「Webサイトのデザインが洗練されている」というポジティブな印象は、「この企業も信頼できるだろう」という好印象につながります。WebサイトのUI/UXは、まさに「企業の顔」として機能するのです。
- 美的ユーザビリティ効果:美しいものは信頼される 
 これは、見た目が美しいデザインのものは、使いやすさも高いと評価されやすいという認知バイアスです。整然としたデザインはユーザーに安心感とプロフェッショナルな印象を与え、製品やサービスの品質に対する信頼感にも直結します。
- データが裏付ける「見た目の重要性」 
 スタンフォード大学の研究では、ユーザーがWebサイトの信頼性を判断する際、その約46%が見た目のデザインに影響されるという結果が出ています。多くのユーザーが内容を読む前に、視覚情報で「信頼できるか」を無意識に判断しているのです。
 

【リード獲得フェーズ】コンバージョンを高めるUI/UX設計
Webサイトを訪れた新規ユーザーを「見込み顧客」に変える、ビジネスの入り口です。ユーザーが目的を達成できる、5つのUI/UX改善ポイントを解説します。
- ユーザーの第一印象を決める「ファーストビュー」の最適化 
 ファーストビューは、ユーザーがページにアクセスした際に最初に表示される領域です。ユーザーはわずか3秒で自分に有益か判断すると言われています。- ターゲットに響くメッセージ: 「誰の、どんな悩みを、どう解決できるのか」がひと目で分かるキャッチコピーを配置しましょう。 
- 視線誘導を意識したレイアウト: 人の視線の動きに合わせ、見てほしい情報(メッセージ → メリット → CTAボタン)を配置することで、伝えたいことが効果的に届きます。 
 
- 離脱を徹底的に防ぐ「EFO(入力フォーム最適化)」 
 EFO(Entry Form Optimization)は、お問い合わせフォームなどをユーザーが完了しやすいように改善する施策です。意欲の高いユーザーを逃さないために非常に重要です。- 入力項目の最小化: 項目は必要最小限に絞り、「必須」「任意」を分かりやすく表示して心理的負荷を軽減します。 
- 入力支援機能: 入力ミスをその場で知らせるエラー表示や、郵便番号からの住所自動入力、適切なキーボードの表示などは、ユーザーのストレスを大幅に削減します。 
 
- クリックしたくなる「CTA(行動喚起)」ボタンのデザイン 
 CTA(Call To Action)は、「お問い合わせはこちら」など、ユーザーに行動を促すボタンです。コンバージョンのための最後のひと押しとなります。- 目立つデザイン: CTAボタンはページ内で最も目立つべき要素です。背景色とは異なる色を使い、クリックできることが直感的にわかるデザインにしましょう。 
- 具体的なマイクロコピー: 「送信」よりも、「無料で詳しい資料を見る」のように、クリック後のメリットが分かる言葉を選ぶことで、クリック率は向上します。 
 
- あらゆるデバイスに対応する「モバイルファースト」な設計 
 今や、スマートフォンからのアクセスは当たり前です。画面が小さいスマートフォンでの操作性を最優先に考える「モバイルファースト」の視点が不可欠です。- レスポンシブデザイン: 画面サイズに応じてレイアウトが自動で最適化されるレスポンシブデザインを導入しましょう。 
- タップしやすいサイズと余白: 誤タップを防ぐため、ボタンやリンクには十分な大きさと、他の要素との適切な余白を確保することが重要です。 
 
- 安心感を与える「社会的証明」と「権威性」の配置 
 特にBtoBでは、「この企業は信頼できるか?」という点が重要な判断材料になります。Webサイト上で信頼性を裏付ける情報を提示しましょう。- 導入事例やお客さまの声: 「どのような企業が利用しているのか」という実績は、何よりの信頼の証となります。 
- セキュリティーに関する明記: プライバシーポリシーへのリンクや、「SSLで通信は暗号化されています」といったセキュリティーに関する表示は、ユーザーに安心感を与えます。 
 

【リード育成フェーズ】エンゲージメントを高めるUI/UX設計
リード獲得はゴールではなく、長期的な関係性のスタートです。獲得したリードとのエンゲージメント(信頼関係)を高め、顧客へと育てるためのUI/UXのポイントです。
- 「パーソナライズ」された体験: ユーザーの閲覧履歴に基づいた「おすすめ記事」の表示や、会員向けマイページ機能は、「自分を理解してくれている」という特別な体験を生みます。 
- 「コンテンツ」の可読性: どれだけ内容が優れていても、読みにくければ伝わりません。専門的な内容は図解を活用し、長文では見出しや箇条書きで情報の構造を明確にしましょう。 
 参考記事:Webサイト制作の基本を知る
- 一貫性のある「デザインシステム」: Webサイト全体でデザインのルールを統一する「デザインシステム」は、ユーザーに安心感を与え、一貫したブランド体験を提供します。 
 参考記事:デザインシステムとは?基礎から学ぶ重要性と導入のポイント
- 「Webサイトとメルマガ」のシームレスな連携: メールから遷移したページでデザインやメッセージが異なると、ユーザーは違和感を覚えます。チャネルを横断した一貫性のあるUXを心がけましょう。 

成果を出し続けるためのUI/UX改善プロセス
優れたUI/UXは、一度作って終わりではありません。データに基づいて継続的に改善していくプロセスが不可欠です。
- ユーザー行動の分析と課題発見: Google Analyticsなどのツールで定量データを分析するだけでなく、ヒートマップツールでユーザー行動を可視化し、Webサイトの課題を発見します。 
- 理想を描く「カスタマージャーニーマップ」: ユーザーがサービスを認知してから利用後に至るまでの一連の体験を可視化することで、どこに課題があり、何をすべきかが見えてきます。 
 参考記事:カスタマージャーニーマップの作り方
- 仮説立案と「A/Bテスト」による効果検証: 分析から改善施策の「仮説」を立て、その仮説が正しいかを「A/Bテスト」で検証します。これにより、データに基づいて効果の高いデザインを選択していくことができます。 
 参考記事:ユーザーストーリーマッピング

まとめ:優れたUI/UX設計は、生活者と企業の未来を創る
本記事では、WebサイトのCVRを最大化するUI/UX設計について、その基本から具体的な改善ポイント、そして継続的な改善プロセスまでを解説しました。
優れたUI/UXは、単にWebサイトの見た目を良くするだけではありません。ユーザーの課題を解決し、心地よい体験を提供することで、製品やサービスへの信頼を醸成し、企業のブランド価値そのものを高めます。それは短期的なCVR向上だけでなく、持続的なビジネス成長を実現する強力なドライバーとなります。
2000年の創業以来、私たち博報堂アイ・スタジオは、常に生活者を起点とした設計思想に基づき、数多くの企業のWebサイト制作とビジネス成長を支援してまいりました。
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