福井大学の超臨界流体技術を、大阪万博で「服の未来」体験として設計。
フクミラ「FUKUMIRA DESIGN FACTORY 〜超臨界流体技術で「描き変えて楽しむ」未来のファッション体験〜 」の総合プロデュース
CLIENT
国立大学法人 福井大学


OVERVIEW
研究の意義を、誰もが「服の未来」として自分ごと化できる体験設計。
福井県は、古くから繊維の生産や染色が盛んな「繊維の街」である。しかし染色には大量の水が必要で環境負荷が大きく、衣服も使い捨てになりがちなことが、地域や産業の課題となっていた。
福井大学はこの課題に対し、フクミラ(フクのミライ、フクイのミライ)をキーワードに、研究開発と購買に関する意識変容に取り組んできた。特に、水の代わりに二酸化炭素を用いることで染色・脱色が可能な「超臨界流体染色・脱色技術」の研究開発を通して、捨てずに色を描き変え、繰り返し楽しめる、新しいファッションのあり方を提案してきた。
2025年の大阪・関西万博では、文部科学省主催の特別企画「わたしとみらい、つながるサイエンス展」に、福井大学も全国20以上の大学・研究機関と共に出展機関として選定された。この先進研究を万博という場で生活者に広く届けたい。「服の未来」を直感的に自分ごと化できるブースにしたい。という大学の想いを具現化するため、博報堂アイ・スタジオが体験設計から空間デザイン、システム開発、現地運営までを一貫して担当することになった。


CREATIVE
体験設計から空間デザインまで、未来体験ブースをトータルにプロデュース。
「服の未来」を自分ごととして感じてもらうため、来場者が自分自身の服を題材にできる体験を設計した。来場者を撮影し、モニター上でAIにより服を脱色。さらに来場者の好みのデザインで再染色し、現在の服と新たなデザインで染色された服を合成したオリジナルカードの贈呈までをひと続きの体験として組み立て、目の前で自分の服が変化していく驚きを通じて、新しいファッションのあり方を直感的に伝えている。体験は「フクミラの一員になった証」としてカードとデータの形で持ち帰ってもらうことで、記憶に残り、SNSや口コミで広がりやすい仕組みとした。
撮影から画像処理、その場でのカード印刷までの仕組みは、当社がこれまでに培ってきた撮影+カード印刷の技術基盤を活用。すでに動作実績のある技術をベースにしたことで、限られた予算と期間のなかで完成度の高いブース体験を構築することができた。会期中の安定稼働に向けたシミュレーションも徹底して行い、多くの来場者を迎え入れる体制を整えた。
ブース自体も「未来」を体感できる空間として設計。半透明の幕で内側の活気を伝えながら視覚的なノイズを排除し、未来の染色技術を想起させる映像と音響で、視覚と聴覚の両面から没入感を演出した。


VALUE
常に行列ができる盛況。さらに体験は全国へ。
大阪・関西万博では、6日間で2,137人(1,431組)の来場者が体験を行い、常に行列ができる盛況となった。専門知識のない来場者にも体験を通して「服の未来」が伝わり、「直感的に理解できた」「この技術はいつ実現するのか」といった反応が多数寄せられた。
続くイベント、サイエンスアゴラ2025(主催:JST)では、「推進委員会が選ぶ注目ブース」として選出されるなど、その体験内容は外部からの評価も高い。さらに、全国の科学館など施設での特別展示や新たなイベント出展への引き合いも多く寄せられている。福井大学でも学内イベント予算や展示改修予算の追加につながり、研究を継続的に支える流れも生まれた。今後も研究や先進技術を、生活者の体験へと翻訳する役割を担っていきたい。
STAFF
更新
Business Producer
Yasutaka Yoshizawa
Project Leader / Technical Director
Keisuke Hoshino
Art Director
Takumi Maezawa
Director
Atsuto Tanaka
Technical Director / Application Engineer
Hideki Okada, Tomoki Sueyoshi
Designer
Sayaka Kanzaki, Haruna Yamaoka, Yukari Kawajiri, Mio Kawaguchi