「不便さ」が「発見」に変わる、旅本来の価値を取り戻す体験デザイン
探究心を刺激する検索旅 TOHOKU QUEST
CLIENT
東日本高速道路株式会社


OVERVIEW
東北に愛着を持ってもらう「探究する旅」へ転換。
NEXCO東日本東北支社は、これまで9年にわたり、東北6県を巡るデジタルスタンプラリーを実施してきた。観光地のチェックイン数に応じて景品が当たる仕組みで、東北観光の促進と高速道路の利用を後押ししてきたが、近年では「チェックインすることだけが目的となり、観光地に立ち寄らずに通過してしまう」参加者が増加。単なる景品狙いの周遊ではなく、東北の土地そのものに愛着を持って訪れてもらう新たな仕組みの必要性が高まっていた。
この課題に対し、博報堂アイ・スタジオは複数の企画案を提案。東北6県の賛同と協力も得て、東北各地の魅力をクエストとして解き明かす探究型スマホ専用コンテンツ「TOHOKU QUEST」が採用された。企画構想から制作、中長期的な運用設計までを博報堂アイ・スタジオが担当することになった。


CREATIVE
探究型のデジタル×リアル体験で、新たな観光プラットフォームに進化。
これまでのスタンプラリーでは目的地を直接案内して回遊を促したが、TOHOKU QUESTでは目的地のヒントだけを提示し、ユーザー自身が検索しながら場所を突き止めていく探究型の構造とした。
東北6県の60スポットをそれぞれクエスト化し、検索する上でヒントとなる、特徴あるキーワードを散りばめたクエストを開発。ユーザーは「150枚以上のお面が並ぶホラーな館」「ユネスコ無形文化財」といったヒントから場所を割り出し、現地を訪れる流れとなる。ユーザーはWebサイトから能動的に離脱して情報を調べなければならないが、この「検索という手間」を通じて、目的地の背景や周辺の魅力との偶然の出会いが生まれ、旅への期待感が自然と高まっていくことを狙った。クエストのコピーについては、キャッチーさと難易度のバランスを意識し、社内のプロジェクトメンバーで何度もブラッシュアップしながら作り上げた。
クエストを解き明かした後のリアルな体験では、その場所に実際に訪れ、GPSでチェックインする機能を実装。簡単に行ける場所ではなく、自分の手で見つけ出した場所だからこそ印象が深まり、訪れるたびに体験が書き加えられる「デジタル上の旅の記録」としても機能する。エリア追加やコンテンツ更新も柔軟に行える設計とし、運用を重ねるほど東北の魅力がストックされていく長期的な観光プラットフォームとして構築した。


VALUE
目的地を探すところから旅がはじまる、長期的なプラットフォームとして進化中。
公開後1年目は有料広告を一切行わずに運用し、全60クエストの達成者は629名、現地でのチェックインまで含めた全クエスト達成者は592名となった(2026年4月現在)。
チェックインが目的化していた従来のスタンプラリーと比べ、ユーザーがクエストを解く過程、Webサイトの閲覧や検索行動などでの時間が延びており、行き先をじっくりと探しながら、その土地への愛着を深める時間が創出されていることがうかがえる。
SNSやレコメンドの広がりにより、「誰かの旅をなぞる体験」になりがちな時代に、自分の足で情報を集め、偶然の出会いや土地への愛着を取り戻す旅本来の価値を提案できたことで、「すでに行ったことのある場所でも、クエストのおかげで新しい発見があった」「クエストを解いて初めて知った世界遺産に、実際に行ってきた」など、自らスポットを解き明かしたからこその参加者のポジティブな声が多数届いている。
本プロジェクトの成果はNEXCO東日本東北支社内のみならずNEXCO東日本全体で共有され、他支社からも新しい観光プロモーションとして注目を集めている。今後も新クエストの追加や機能アップデートが予定されており、東北から始まり、日本全国の観光に探究型の体験を提案するプラットフォームへと進化させていきたい。
STAFF
更新
Project Manager
Yasutaka Yoshizawa
Creative Director
Tomoya Ikeda
Art Director / Designer
Natsumi Kosaka, Akari Tanaka, Kana Hatana
Director
Nanaka Matsumoto, Atsuto Tanaka
Frontend Engineer
Masaki Kitahara, Rikako Kono
Backend Engineer
Shunpei Yamasaki, Hiroto Asada, Keiichi Kanaya
Infrastructure Engineer
Yukie Takahashi, Takashi Ozawa
Verifier
Satoru Yoshida
Secretariat
Yoko Ogasawara, Yusuke Miyata
Analyst
Noriko Oda, Junghwan Lee
Special Thanks
Saya Shibagaki, Ai Enomoto