BACK

既存サービスの伸び悩みを解消する。本質的なUI/UX改善アプローチ

小島 大輔(エクスペリエンスデザイナー)
2026-08-26
xfacebookline

「サービスをローンチして数年。機能追加を繰り返してきたが、ユーザー数の伸びが鈍化している」
「リニューアルでデザインを刷新したが、期待したほどコンバージョンが上がらない」
「問い合わせやクレーム対応に追われ、本来注力すべき改善に手が回らない」

多くのWebサービスやアプリの担当者が、リリースから一定期間経過後にこうした「伸び悩み」に直面します。

「次の一手が見えない」「良かれと思ってやったことが裏目に出る」と頭を抱え、焦りや徒労感を感じている担当者の方は少なくありません。

この局面で多くの企業がとりがちな対策が、「流行りのデザインへの刷新」や「競合が導入している新機能の追加」です。

焦りから、目に見える変化を求めたくなるのは当然です。しかし、ここで一歩立ち止まって考えてみてください。

「体験(UX)」の一側面である「見た目や話題性」だけを追い求め、その根幹にある「価値」や「ユーザーの現実」を見失っていませんか?

ボタンの色を変えても、機能を継ぎ足しても、根本的な課題が解決されなければ、それは「改善」ではなく「改築」に過ぎません。本記事では、既存サービスが陥りやすい罠と、それを乗り越え、サービスを再び力強い成長軌道に乗せるための「本質的なUI/UX改善」のアプローチについてご紹介します。

1. なぜ「良かれ」が「改悪」を招くのか

既存サービスの改善プロジェクトにおいて、特に注意すべきなのは「提供者目線の思い込み」で突っ走ることです。

既存ユーザーからは「使い慣れた動線が変わって使いにくい」という声が上がり、新規ユーザーにとっては「多機能すぎて何ができるかわからない」といった混乱が生じます。こうした「改善のつもりが改悪」になってしまうケースは後を絶ちません。

その原因は、「自分たちのサービスが、実際のユーザーにどう使われているか」という事実(ファクト)を、客観的に把握できていないことにあります。
「アクセス数が多い=満足度が高い」とは限りません。数字の裏側には、「使いにくいが仕方なく使っている」というユーザーの我慢や、「本当はこうしたいのにできない」という諦めが隠れているかもしれないのです。

2. 成果を最大化する「UI/UX改善」4つのステップ

博報堂アイ・スタジオが提供する「既存サービスのUI/UXデザイン」は、単なる画面の書き換えではありません。
「ユーザーの事実(ファクト)」に基づき、「ビジネスの提供価値(バリュー)」を再定義し、それを「検証されたUI」に落とし込むプロセスです。
リリース済みのサービスには、既に「利用データ」と「実際のユーザー」という資産があります。これを活用しない手はありません。私たちは4つのステップで、改善の確実性を高めるアプローチを行います。

STEP1. データ・専門家・ユーザー視点で「現状の解像度」を高める

改善の第一歩は、健康診断と同じく「正確な現状把握」から始まります。私たちは、以下の3つの視点を組み合わせて分析を行います。

  1. 定量データ分析: Google アナリティクス4プロパティ(GA4)などのアクセス解析ツールを用い、「どこで離脱しているか」という数字の事実を把握します。

  2. エキスパートレビュー: UXの専門家がユーザビリティ原則に基づいてWebサイトを評価し、「なぜ使いにくいのか」という要因の仮説を立てます。

  3. ユーザーテスト(行動観察): 実際のユーザーにサービスを利用してもらい、その行動や発話を観察することで、「ユーザーが実際にどう感じ、どこで躓いているか」というリアルな心理を裏付けます。

これらの視点を掛け合わせることで、社内だけでは見落としがちだった『システムとユーザーの間に起きている摩擦』を具体的に浮き彫りにし、ユーザーの心理や行動に根ざした解像度の高い本質的な課題特定を行います。


STEP2. 「提供価値」の再定義

現状の課題が見えたら、いきなりデザインや機能開発には入りません。まずは「このサービスは誰に、どのような価値を提供するためにあるのか?」という原点に立ち返ります。

多くの場合、機能過多や複雑さは、この「提供価値」が曖昧になった結果生じます。
単に「機能的にできること」を並べるのではなく、「ユーザーがこのサービスを通じて、どのようなポジティブな変化を得られるか」までを言語化し、サービスのぶれない指針となる「北極星(プロダクトビジョン)」を定め直します。この指針があるからこそ、迷いのないUIデザインが可能になります。

STEP3. アイデアを出し合い、実装への「勝ち筋」を決める

提供価値(コンセプト)が決まっても、それを実現する手段はひとつではありません。ここで重要になるのが、アイデアを出し合って広げる(発散)プロセスと、そこから実装すべき施策を絞り込む(収束)プロセスです。

まず、再定義した価値を実現するためのアイデアをチームで出し合います(発散)。そして出揃ったアイデアを、「ビジネスインパクト(期待できる効果)」と「開発工数(実現可能性)」の2軸で評価します(収束)。
「効果は高いが開発に半年かかる案」や「すぐにできるが効果が薄い案」を整理し、優先順位をつけた「改善策リスト(プロダクトバックログ)」を作成します。これにより、限られたリソースのなかでより高い成果が期待できる「勝ち筋」を明確にします。

STEP4. プロトタイプによる「高速な仮説検証」

優先順位の高い改善策から、具体的な形(UI)に落とし込みます。しかし、ここでもいきなり開発・実装はしません。私たちは、紙のスケッチからデザインツールでのビジュアル化まで、検証の目的に応じて最適な「プロトタイプ(試作品)」を作成し、実際のユーザーに触ってもらいます。

  • ワイヤーフレーム:画面の構造や情報設計が正しいかを検証します。

  • インタラクティブ・プロトタイプ:デザインツールの機能を活用し、実際のアプリのように画面遷移や操作ができる状態を作り、「使い心地」や「体験の流れ」を検証します。

このプロセスで「ユーザーは価値を感じるか?」「迷わず操作できるか?」を徹底的に確認します。これにより、開発コストをかける前に失敗のリスクを軽減し、手戻りを最小限に抑えた「検証を重ねた設計図 」を固めてから、実装フェーズへと進むことができます。

3. サービス成長のパートナーとして

Webサービスやアプリは、リリースして終わりではありません。むしろ、リリースした後こそが本番であり、ユーザーの変化に合わせて進化し続ける必要があります。

「現状を変えたいが、どこから手をつけていいかわからない」
「リニューアルの投資対効果を社内に説明できるか不安だ」
このようなお悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひ私たちにご相談ください。私たちは貴社のサービスの「価値」を再発見し、再び力強く成長させるためのパートナーとして、調査から戦略、実装までチームの一員として全力で伴走します。まずは現状の課題整理から、お話ししませんか?

※ 記載されている会社名・製品名は各社の商標または登録商標です


よくあるご質問

Q1. 数値が伸び悩んでいますが、明確な改善要望が決まっていません。それでも相談できますか?

A1. はい、もちろんです。既存サービスの場合、「どこにボトルネックがあるか」を特定すること自体が重要なプロジェクトの一部です。ヒアリングや現状データの分析を通じて課題を洗い出し、「今、何に取り組むべきか」という優先順位の策定から伴走いたします。

Q2. システムが古く制約が多いのですが、UXの改善は可能でしょうか?

A2. 可能です。私たちは「絵に描いた餅」にならないよう、既存システムの制約や技術的な要件をヒアリングした上で、そのなかで実現可能な最大限のUXをご提案します。必要であればエンジニアの方とも連携し、実装可能性を踏まえたデザインを作成します。

Q3. サービスを止めずに、部分的に改善を進めることはできますか?

A3. はい、お勧めしています。大規模なリニューアルはリスクも伴うため、例えば「会員登録フローのみ」や「トップページのみ」といった、効果が目に見えやすく、かつ万が一のリスクを小さく抑えられる箇所から、段階的に改善を進めるプランもご提案可能です。

Q4. 改善プロジェクトの期間や費用はどのくらいですか?

A4. プロジェクトの規模や対象範囲、実施する分析手法(ユーザーテストの参加人数など)によって異なります。

数週間で特定の課題を解決するクイックなプランから、数カ月をかけてサービス全体を抜本的に見直す大規模なプロジェクトまで、柔軟に対応可能です。まずは現在の課題やご予算をお伺いした上で、最適なプランをご提案します。

EXPERIENCE DESIGN ]のWebサイトはこちら

執筆者
小島 大輔(エクスペリエンスデザイナー)
2015年入社。KPI設計やWebサイト構築などのプロジェクトの他、コンテンツマーケティング、SNS、コミュニティ開発、Web広告など、デジタル領域のさまざまなタッチポイントとその表現にプロデューサーとして多数関与。
近年では制作領域での経験を活かしユーザー体験を軸として、新規事業開発やサービスデザイン、ブランディングなどの領域で伴走型支援を行っている。
HCD-Net認定 人間中心設計専門家 / 認定スクラムマスター® (CSM®)
CTA