ポイント1:「現状把握」と「顧客ニーズの解剖」
「何のためにリニューアルするのか」という目的やビジョンが曖昧では、望む成果は得られません。私たちはまず、目的やビジョンを、貴社と共に明確化します。
必要な開示情報を整理し、議論を重ねながら、リニューアルで得たい具体的な成果を定義し、戦略の土台作りから始めます。
そして、定量的データ分析(GA4など)や定性的な分析(エキスパートレビューなど)によって、潜在的な課題の洗い出しを行います。
さらに、必要に応じて、ユーザーテストなどを通じ、投資家が「本当に知りたい情報」とその探索プロセスを深く理解します。
これらのデータに基づき、「誰に何をどう伝えるか」という基本方針と、IR成果に直結する具体的なKPIを明確に策定・合意形成することで、リニューアルを「投資対効果を最大化する戦略」として確立させます。
参考記事:定量調査・定性調査を武器に。データで導くWebサイト改善。

プロセス例:データに基づいて課題から改善策を検討する
1. 現状の定量・定性分析によるボトルネックの特定
定量的なユーザー行動分析
GA4(Google Analytics 4)などの分析ツールを使用し、ユーザーのWebサイト内での行動を詳細に把握します。
特に、離脱率が高いページ、目的の情報に到達していない(コンバージョンに至らない)遷移パスなど、ユーザーが抱える行動上のボトルネックを特定します。
専門家による定性的な課題洗い出し
競合分析: 主要な競合他社のIRサイトを調査し、コンテンツの充実度、使いやすさ、提供情報における優位性・劣位性を客観的に評価します。
エキスパートレビュー: 専門家の視点から、Webサイトの構造、ナビゲーション、コンテンツの配置、ユーザビリティを評価し、潜在的な問題点(ボトルネック)の洗い出しを行います。
2. 課題解決に向けたKPIと施策の明確化
具体的な成果への道筋の明確化
「どの課題を解決すれば、IR成果(例:投資家からの問い合わせ増加、IR資料のダウンロード数増加、株主・投資家のエンゲージメント向上など)につながるか」を定義します。
この連鎖関係を可視化するため、ビジョンや中期経営計画などを元に、KPI(重要業績評価指標)ツリーとして具体的かつ論理的に明確化します。
「KPIツリー」は、単なる目標リストではなく、IRご担当者様が経営層に予算を申請し、投資対効果をコミットするための論理的な武器となります。Webサイトの改善を企業価値向上に直結させる道筋を明確にします。
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3. 投資家視点の深い理解と基本方針の策定
投資家の「本当に知りたい」情報の深掘り
個人投資家や機関投資家へのユーザーテスト: 投資家を対象に、Webサイト利用時の行動を観察し、ヒアリングを実施することで、改善点に関する具体的なフィードバックを収集します。
ペルソナ・カスタマージャーニーの作成: ターゲットとなる投資家像(ペルソナ)を設定し、情報収集から投資判断に至るまでの思考プロセス(カスタマージャーニー)を作成することで、投資家が求める情報とその探索プロセスを深く理解します。
参考記事:効果的な施策立案に役立つ、カスタマージャーニーマップの作り方と活用法
改善の基礎となる合意形成
これまでのIR評価や投資家からのフィードバックなどの結果をご提供いただき、その改善内容を共に検討します。
最終的に、分析データと投資家からの洞察に基づき、「誰に(ペルソナ)何を(コンテンツ)どう伝えるべきか(デザイン・構造)」というIRサイトの基本方針を、関係者間で合意形成した上で策定します。
このプロセスを通じて、単なるデザインの改善ではなく、IR目標達成に直結する戦略的なWebサイト設計が可能になります。
ポイント2:「IR視点の情報設計」と「運用を見据えたUI/UX」
ポイント1で定めた戦略は、UI/UXの設計思想として具現化されます。私たちは、顧客視点に立ちながら、企業価値を正確かつ魅力的に伝えるための情報アーキテクチャ(IA)と、運用まで見据えたUI/UXで専門性を発揮します。
ポイント2では、投資家のニーズとIR上の重要視点を統合し、迷いなく情報に辿り着ける論理的なサイトマップを追求します。特に、企業の成長性を裏付ける非財務情報(ESGや企業価値創造ストーリー)は、UI/UXを考慮し、単に情報を読みやすく羅列するだけではなく、ストーリーとして深く伝えるための視覚的表現や、共感を呼ぶコンテンツ構成かを追求します。
同時に、情報の正確性とスピードを担保するため、更新がしやすいCMS設計を見据え、ご担当者様の更新作業の負荷を軽減する仕組みを構築します。
これらのポイントを加味しながら、皆さまと議論を重ね戦略を立て、具体的な設計に落とし込みます。

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プロセス例:IRサイト構造と設計プロセス
1. サイトマップ設計:迷いのない情報導線の確立
IR視点とユーザーニーズの統合
前の分析ステップ(ポイント1)で明確にした投資家のニーズと、企業が伝えるべきIR上の重要視点をサイトマップの基礎とします。
導線の追求
「どのような導線で、迷いなく情報に辿り着けるか」を最優先に設計します。投資家が知りたい情報(財務データ、戦略、ESGなど)に最短ルートでアクセスできる論理的な階層構造を構築します。
「ニーズのある情報は適切に提供できているか」を「強みをアピールできているか」検証しながら、主要コンテンツへのアクセスを最適化します。
2. UI設計:ワイヤーフレームとコンポーネント管理
コンポーネント管理の徹底
Webサイト全体で統一感があり、誰もが直感的に使いやすいインターフェース(UI)を実現するため、共通で使用するデザイン要素(ボタン、ナビゲーション、リスト形式など)をコンポーネントとして標準化し、一元管理します。
ワイヤーフレームの設計
このコンポーネント管理に基づき、ページごとの情報配置、機能、導線を定義するワイヤーフレーム(骨子)を設計します。
3. コンテンツ設計:非財務情報とUXの融合
非財務情報の構築
ESG(環境・社会・ガバナンス)や企業価値創造ストーリーなど、非財務情報は企業のメッセージを最大限に伝えるための核となります。
非財務情報は、単なる情報羅列では響きません。物語(ストーリー)として深く伝えるための視覚的表現や、共感を呼ぶコンテンツ構成を、UXの視点から共に構築します。
4. CMS設計:正確性と更新負荷軽減の実現
CMSの検討
情報の正確性やスピードを重視するため、更新のしやすさを前提としたCMS(コンテンツ管理システム)設計を見据えます。
特に、フロントエンド(デザイン)とバックエンド(情報管理)を分離するヘッドレスCMSなどの導入を検討し、更新ご担当者様の負荷を軽減する仕組みも構築します。
CMSは、プロが本音で解説するCMS比較。目的別のおすすめ10選と選び方のコツ を参考にしてください。
ワイヤーフレームへの反映
CMSの設計思想(どこを定型化し、どこを自由に変更可能にするか)を、先のワイヤーフレーム設計に反映させます。
成果
これにより、ニーズのある情報や企業が伝えたい情報を、デザイン意図を損なうことなく、常に最新かつ正確な状態で発信できる仕組みを共に作り上げます。
ポイント3:「効果測定」と「運用負荷の軽減」に向けた伴走支援
Webサイト制作は「作って終わり」ではありません。本当に大切なのは、Webサイト公開後、データに基づき成果を育て、共に成長させていくことだと考えています。そのため、リニューアルの効果を最大化し、成果を定着させるための継続的なサポート体制をご提供いたします。
ポイント3では、ポイント1で設定した具体的なKPIに基づき、目標達成に向けた進捗を継続的にモニタリング(検証)を実施します。
私たちは、アクセス解析データや投資家からのフィードバックなどをもとに改善提案を行い、Webサイトを常に最新の戦略とニーズに対応できる「生きた情報発信基盤」にしたいと考えています。
必要に応じて、AIO(AI Optimization)といった先端的なアプローチも活用します。「Human friendly(人にとってのわかりやすさ)」と「Machine friendly(AI分析ツールにとっての解析しやすさ)」の両立を目指す手法を通じて、Webサイトを強力な「武器」へと進化させます。
そして、この進化を支える長期的なパートナーとして、最後まで責任をもって伴走したいと考えています。

プロセス例:Webサイト公開後の継続的な運用と改善
1. 成果指標に基づくモニタリング(検証)
KPI達成に向けた進捗確認
ポイント1で設定した具体的なKPI(例:投資家向け資料ダウンロード数、IRページ回遊率、IRお問い合わせ件数、エンゲージメント率など)に基づき、公開後の進捗状況を定期的にモニタリングします。
目標に対する達成度合いを正確に把握し、Webサイトのエンゲージメント向上に貢献できているかを定量的に評価します。
2. データとフィードバックに基づく継続的改善(改善)
アクセス解析とデータドリブンな改善
公開後も継続的にアクセス解析(GA4など)を行い、ユーザー行動の変化、予期せぬ離脱箇所、人気コンテンツなどを分析します。
このデータ分析結果に基づき、具体的な改善提案(例:導線変更、コンテンツの拡充・修正、UIの調整など)を行います。
アクセス解析については、【連載 第1回】はじめの一歩:Googleアナリティクスで、あなたのWebサイトの『今』を見てみませんか? をご確認ください。
投資家からのフィードバック活用
投資家からの問い合わせ内容やアンケート結果などのフィードバックを収集し、IRサイトの改善点として取り入れます。
更新サポートの提供
迅速かつ正確な情報発信を維持するため、IRご担当者様に対してコンテンツの更新サポートを継続的に行います。
3. 先端技術を活用したWebサイトの進化(進化)
AIO(AI Optimization)の活用検討
従来のSEO(検索エンジン最適化)が検索結果の順位を上げることに主眼を置いていたのに対し、AIOは、AIが生成する回答や要約に自社コンテンツが情報源として引用・参照されるための最適化であり、新たな時代の集客とブランディングに不可欠な要素となっています。
AI技術とIRの専門知識を組み合わせた新しい手法である「AIO(AI Optimization)」といった先進的なアプローチを、必要に応じてご提案する場合があります。
市場環境への対応
市場環境の変化や、投資家のニーズの多様化(例:モバイル利用の増加、非財務情報への関心の高まりなど)に迅速に対応できるよう、Webサイトを強力な「武器」へと進化させるための提案を行います。
このプロセスにより、IRサイトは一度作って終わりにさせずに、数年後に劣化することを防ぎ、常に最新のIR戦略と投資家ニーズに対応できる、生きた情報発信基盤として機能し続けます。
まとめ
単に見た目を良くするだけでは、投資家向けの成果(IR成果)は上がりません 。投資家が企業の「将来の価値」を判断するためのIRサイトは、戦略的な工夫と、公開後の継続的な改善によって初めて機能するからです 。
まずデータ分析や日ごろの実績 を通して、投資家が「本当に知りたい情報」を明確に特定し、リニューアルで得たい具体的な成果(KPI)を定めることです 。
次に、特定した投資家のニーズと、企業が伝えるべき重要な情報(IR視点)を両立させ、ESGなどの「企業価値創造ストーリー」といった情報を含め、担当者の手間を減らす更新しやすい仕組み(CMS設計)を考えてWebサイトを設計します 。
そして最も大切なのは、Webサイトを「作って終わり」にしないことです 。私たちは、定めた目標(KPI)を継続的にチェックし、AI技術なども活用しながら、Webサイトを常に最新の状態に「育てていく」伴走支援が不可欠だと考えます 。
私たちは、日興アイ・アールやGomezといった権威あるIRサイトランキングで数々の受賞実績を持つWebサイトを手掛けてきた経験から 、単なるWebサイトの作り直しに留まらず、この戦略的な取り組みを通じて、貴社の企業価値を高めるためのWebサイトの土台をご提案いたします 。
ご興味ございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
Webサイトリニューアル時によくあるご質問
Q1. Webサイトリニューアルは費用も期間もかかりそう。一部だけお願いすることも可能ですか?
A1. もちろんです。ご予算や課題の優先度に応じ、例えば「ポイント1:現状把握」のエキスパートレビュー(専門家によるWebサイト診断)だけをご一緒するなど、柔軟にご提案します。重要なのは投資対効果を最大化する「勝ち筋」を見つけることです。まずはお気軽にご相談ください。
Q2. デザインを綺麗にしても、経営層が納得する「IR成果」につながるか不安です。具体的にどう成果を測るのですか?
A2. 私たちは「見た目の美しさ」ではなく「IR成果」をゴールにします。まず「ポイント1」で「資料ダウンロード数」や「IRページ回遊率」といった具体的なKPIを共に定義します。公開後は「ポイント3」に基づきKPIを測定・ご報告し、目標達成まで伴走します。
Q3. リニューアルしても、日々の更新作業が大変だと結局使われなくなります。担当の負担を減らす工夫はありますか?
A3. はい。「情報の正確性やスピード」を担保するため、専門知識がなくてもCMS(管理画面)から迅速に更新できる仕組みを設計します。ご担当者様の負荷を軽減し、Webサイトを育てやすくします。
参考記事:プロが本音で解説するCMS比較。目的別のおすすめ10選と選び方のコツ
Q4. 投資家が「本当に知りたい情報」とは、決算資料や財務データ以外に何があるのですか?
A4. 財務データに加え、ESGへの取り組みや「企業価値創造ストーリー」といった非財務情報(数字の背景にあるストーリー)です。投資家は「将来の成長性」を見極めようとしています。「ポイント1」の調査で投資家の「本当に知りたい情報」を特定し、「ポイント2」で効果的に伝える設計を構築します。
Q5. 「AIO(AI Optimization)」という言葉を初めて聞きました。IRサイトにどう関係するのですか?
A5. AIOとは、記事中の図にある「Human friendly(人へのわかりやすさ)」と「Machine friendly(機械へのわかりやすさ)」の両立を目指す手法です。投資家が使うAI分析ツールなどが貴社のIR情報(ESGや成長戦略)を正しく理解できるようWebサイトを最適化し、強力な「武器」へと進化させます。
当社では、これを具体的に実現するためのAIフレンドリーオウンドメディアソリューション をご用意しています。







