オウンドメディアマーケティングとは
オウンドメディアマーケティングとは、企業が自ら所有するメディアを活用し、ターゲットユーザーに対して有益な情報を発信することで、集客や信頼構築、最終的な成約へとつなげるマーケティング手法です。
ここで混同されやすいのが、コンテンツマーケティングという言葉です。この2つの関係を正しく理解することは、戦略を立てる上で非常に重要です。
箱のオウンドメディアと、コトのコンテンツマーケティング
専門的な視点から見ると、オウンドメディアとコンテンツマーケティングは、箱とコトという関係性にあります。
オウンドメディア = 箱(媒体) 自社Webサイトのコラム、ブログ、ニュースレターなど、企業が情報を載せる器そのものを指します。
コンテンツマーケティング = コト(戦略・手法) 価値のある情報を届け、ユーザーの行動を促すためのコミュニケーション戦略全体を指します。
つまり、オウンドメディアはコンテンツマーケティングを実現するための有力な手段のひとつです。どれほど立派な箱(メディア)を作っても、その中身であるコト(コンテンツ)がユーザーの悩みを解決するものでなければ、成果は得られません。逆に、優れたコンテンツがあっても、それを蓄積し、ユーザーが回遊できる箱がなければ、その価値は一時的なもので終わってしまいます。
参考記事:商談につなげる!AI時代の戦略的BtoBコンテンツマーケ運用ガイド
参考記事:デジタルマーケティング担当者必見!生活者に刺さる“コンテンツマーケティング”って?

クッキーレス時代はもう来ない?
2024年7月、Googleからサードパーティークッキーの廃止を撤回する、との発表がありましたが、実際には「現状維持」とは言えない状況が続いています。Googleの方針は完全な撤回ではなく、ユーザー自身がクッキーの利用を「許可するか拒否するか」を明示的に選択する新たな仕組み(インフォームド・チョイス)の導入へと舵を切ったからです。
さて、いろいろと世の中を騒がしていたこのサードパーティークッキーのデータ問題。ご存知の方も多いと思いますが、廃止されると今までリターゲティングとかリマーケティングに使用していた生活者データが使えなくなることが問題と考えられていました。しかし現実には、先行して廃止されたSafariやFirefoxに加え、Chromeでも多くのユーザーが「拒否」を選択するようになったため、すでに生活者データの欠損は深刻化しています。

もしサードパーティークッキーが廃止されたら、セグメント&ターゲティングが強みのデジタル広告配信はどうなるのでしょうか。第三者のドメインから発行されるクッキーを使って、Webサイト上の行動を、ドメイン横断で追跡できなくなり、訪問先のWebサイトから直接発行されるそのWebサイト内でのみ有効なクッキー(ファーストパーティーデータ)しか使用できなくなる、ということです。
生活者の興味関心の特定が難しくなるのでセグメントによる高コンバージョンを狙った精度の高い広告配信も難しくなりますし、ビュースルーコンバージョンの計測ができなくなり、広告の費用対効果の低下や計測のズレが今まさに顕在化しています。
取り急ぎはGoogleでサードパーティークッキーがこれからも使えることにはなりましたが、今後もプライバシー保護やデータ保護の観点からまたいつ廃止論が高まるかわかりません。そこで白羽の矢がたったのが、ファーストパーティーデータを利用できるプラットフォーマーやオウンドメディアによる認知・集客というわけです。
広告中心になりがちなデジタルマーケティングですが、今後は、自社で直接顧客とつながり、データを蓄積できるオウンドメディアも積極的に活用した施策が生き残りのための不可欠な戦略となります。
参考記事:デジタルマーケティングに激震。サードパーティークッキーの廃止とその影響
オウンドメディアの運用って大変

それにしても、企業のオウンドメディアの運用って手間がかかりますよね。自社に関する全ての情報が掲載されてるので更新が頻繁に必要だし、ブランドや商品のWebサイト内情報設計も膨大、それでいてデータは直接誰でも見られるので、すごくミクロな部分で細かいディレクションが来たり、本質的解決になっていない対症療法的なことを大事にしていたり、とにかく大変です。
しかし、これほどのリソースを投下してでも、市場をリードしている競合上位Webサイトが運用を強化しているのには明確な理由があります。現在、成果を出している企業は、以下の3つの「目的」をメディア内で高いレベルで網羅し、全社的な資産へと昇華させています。
リード獲得・育成(ナーチャリング)
潜在顧客との接点を作り、商談へと導く導線の確立ブランディング・信頼構築
専門的な知見を発信し、顧客から「第一想起」される存在への成長採用広報(リクルーティング)
会社のカルチャーや価値観を可視化し、優秀な人材へアピール
特に「採用」の視点は、2026年現在の市場において競合他社がこぞって取り入れている最重要の要素です。単なる販促ツールとしての枠を超え、企業の持続的な成長を支える「多目的型メディア」へのシフトが、戦略上の大きな分岐点となっています。
参考記事:コンテンツマーケティングをより戦略的に実施する6つのポイント
デジタルアドを活用したオウンドメディアマーケティングとは?
これまで当社では、ATLと連動したものからリアルイベント主体のもの、オンライン上の獲得を主体にしたものやSNSでの好意形成狙いなどなど、さまざまなプロジェクトを担当させていただきました。
その中でも、オウンドメディアとデジタルアドの連携というのは、効果的な成果を出すためにも必要不可欠です。ペイドメディアやアーンドメディアで獲得した見込み客を集め、信頼関係を構築・育てていき最終的なコンバージョンへと導くには、オウンドメディアが重要になります。
参考記事:コミュニケーション設計の実施方法を徹底解説!戦略的なLTV向上のポイントとは?
そこで、これまで経験した知見を元に何点かポイントをご紹介します。
ポイント1:まずは全体UX設計
オウンドメディアってとりあえずは必要ってことだから、いろんなプランニングした後に最後に作っとけばいいや!と思いがちですが、実はそうでもないんです。デジタルアドと連携し、効果を出すためには初期設計から行う必要があります。
ちゃんとしたターゲットの態度変容・行動変容を考えると、このオウンドサイトを経由した施策のゴールになることは意外と多く、ここで何を体験させるか、そして実際に行動してくれたかを見るのは非常に重要となります。商材にもよりますが、自社で直接の発信コントロールができる、いわばブランドコミュニケーションのベース基地としての役割は普遍的にあり続けますし、もちろんD2CやEC、獲得系LPなどではさらに重要となります。
こういった設計図をもとに俯瞰で見て、オウンドメディアと他の施策と連携し、
「どこで」「何を伝えて」「どのような態度変容を起こすのか」
という導線の設計をしておくことが、まずは重要なポイントとなります。
これは業種によっていろいろなジャーニーモデルがありますので、それをベースにカスタマイズしていくことが一般的です。
参考記事:ユーザーと信頼を築くゼロ&ファーストパーティデータ戦略
ポイント2:アド/Webサイト/ソーシャルそれぞれをフレーム化

次にようやく個別の設計・プランニングにとりかかります。
先のUXで整理したそれぞれの目的・役割を連携させてプランニングしていきます。
例えば、アドって大体、インプレッション数かクリック数、もしくは動画なら再生数が指標になりますよね?しかしそれが、全体UXの中での目標が、
ブランドの認知率アップのためにやっているのか
サービスの理解のためにやっているのか
もしくはその両方なのか
で、あるべき姿は変わってきます。
ブランド認知度アップのためであれば、極論クリックしなくてもいいから大きくブランド名が出るバナーであればよく、誘導されたWebサイトでも大切なのはブランドを覚えてもらうこと。詳細な説明は置いておいて、端的に競合カテゴリー内でのブランド想起をあげるシンプルなLPで良いわけです。
続いてソーシャルでもその場合はSOVが高まることが重要になってくるはずなので、「最近このブランドよく目にするな」という状況を作る、瞬発力あるキャンペーンやクリエイティブの開発を行うことが良いと思われます。
これらのことを踏まえると、それぞれ追うべき指標がわかってくるはず。その効果を分かりやすくするために各施策のクリエイティブ表現をフレーム化して連携し、どこからどこへの流入がどの行動を生み出し、効果があると思えるのかを随時検証していきます。
ここでポイントなのは狙いを持って検証することなので、期間を決めて目標を定めて検証することです。その際、もちろんデジタル以外の要因も考えられるのでそれも加味しておくのも大切です。
成功のための戦略設計プロセス
オウンドメディアを成功させるためには、闇雲に記事を書くのではなく、事前の戦略設計が欠かせません。
具体的な戦略設計のフローについては、別記事 コンテンツマーケティングをより戦略的に実施する6つのポイントで詳しく解説しています。本記事では、まず押さえておくべき全体像を紹介します。
ターゲット(ペルソナ)選定
誰の、どのような悩みを解決するのかを明確にします。カスタマージャーニー策定
ユーザーが認知してから検討、決定に至るまでの心理変化と行動を可視化します。コンテンツマップ作成
どの段階のユーザーに、どの情報を、どの順番で届けるかの設計図を作成します。
このステップを丁寧に行うことで、一貫性のある、ユーザーに刺さるメディアへと成長していきます。
オウンドメディアで追うべきKPI
効果を測定し、改善し続けるためには適切な指標(KPI)の設定が必要です。
KPI・KGIの基本的な考え方や設定方法は KPIとは?KGIとの違いやマーケティングでの設定・活用手順を解説をご覧ください。ここでは、オウンドメディア運営において特に注視すべき指標をフェーズ別に挙げます。
認知フェーズ
まずはWebサイトを知ってもらうための指標です。
PV(ページビュー)
UU(ユニークユーザー数)
主要キーワードの検索順位
検討フェーズ
コンテンツがしっかり読まれているか、興味を持たれているかを測る指標です。
平均滞在時間
再訪率(リピート率)
読了率(ページのどこまで読まれたか)
獲得フェーズ
最終的なビジネス成果に直結する指標です。
資料請求数
お問い合わせ数
CVR(コンバージョン率)
目的に応じて、これらの指標をバランスよく監視することが重要です。
最後に:クリエイティブの視点もやっぱり大事!
設計や目標・狙い、フレームなどといろいろと書きましたが、実際はエグゼキューションとしてまず心を動かせるのか、ということをいつも心がけなければいけません。
手法から入るにせよ、クリエイティブな視点は忘れずに、いわば、左脳(設計)と右脳(クリエイティブ )を行き来してお互いのパフォーマンスを高め、デジタルアドとオウンドメディアを両輪で動かし相乗効果を生んでいくことで、結果、最大限の効果を出していくということが勝ちパターンになるのです。
サードパーティークッキーに頼らないリターゲティングやリマーケティングでは、生活者のプライバシーを尊重しながら、よりファーストパーティーデータやコンテクスチュアルな手法にシフトすることが鍵となります。デジタル広告とオウンドメディアの連携、そして、より印象的なクリエイティブで生活者体験を高めることで、効果的なマーケティングが実現するのだと思います。
このように、博報堂アイ・スタジオではオウンドメディアを活用したコミュニケーションはもちろん、IMC(Integrated Marketing Communication)を起点としたさまざまなプロジェクトを担当しておりますので、いつでもご相談ください。









