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【SEOの次の一手】 AI検索を勝ち抜く「AIO」5つの戦略

高野 祥宏(テクニカル・ディレクター)
2025-10-08
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Googleで、検索結果より前に「AIが要約した内容(AI Overviews)」が表示されることが多くなりましたが、2025年9月に「AIモード」を日本でも導入したのをご存知でしょうか。

ユーザーが検索結果のリンクをクリックせずに検索を終了する「ゼロクリック検索」が加速している中、従来のSEO(検索エンジン最適化)だけではなく、AIに最適化する新しい概念、AIO(AI Optimization)への対策も必要となってきました。

本記事では「AIOとは何か」「なぜ今すぐ取り組むべきなのか」そして「今日から始められる具体的な5つの戦略」を分かりやすく解説します。

1. なぜSEOだけでは勝てないのか?

まず理解すべきなのは「Google検索がAIによってどのように変わったか」ということです。大きな変化は2つあります。

① AI Overviews(AIによる概要)の定着

ユーザーが検索すると、結果の最上部にAIが生成した要約が自動で表示されるようになりました。多くのユーザーはここで答えの概要を掴み、満足してしまいます。つまり、あなたのWebサイトが検索結果で1位だったとしても、クリックされずに検索を終えてしまう「ゼロクリック検索」が加速しているのです。

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 ② 「AIモード」の誕生

さらに、ユーザーは自らの意思で「AIモード」に切り替え、まるで専門家と話すように、AIと対話を続けながら情報を深掘りできるようになりました。

「旅行プランを立てて」「複数の商品を比較して」といった複雑な相談も、AIが網羅的な答えを生成します。ここでの主役は、個々のWebサイトではなく、AIそのものです。

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この2つの変化により、Webサイト運営者の戦場は、「いかに検索順位で上位表示されるか」から「いかにAIの回答の情報源として引用・参照されるか」へとシフトして行く必要がでてきました。

2. SEOの後継者「AIO」とは何か?

AIO(AI Optimization:AI最適化)とは、Google の Gemini や ChatGPT のような AI が、あなたのWebサイトやコンテンツを「正確に理解し、信頼できる情報源だと判断し、回答として引用・参照しやすくする」ためのあらゆる施策を指します。

SEOとの違いを簡単に整理してみましょう。

項目

SEO(従来)

AIO(これから)

最適化の対象

検索エンジンのアルゴリズム

AIの学習モデル

主な目的

検索結果での上位表示

AI生成回答での引用・参照

重視される要素

キーワード、被リンク

文脈、信頼性、情報の構造

誤解しないでいただきたいのは、AIOはSEOを否定するものではないということです。

むしろ、質の高いSEOを土台として、その上にAI向けの調整を加える、いわば「SEOの進化形」と捉えるのが適していると考えられます。

参考記事:【2025年版】SEO対策を初心者向けに完全ガイド!即効性のある実践事例も解説

3. 今日から始める!AIに選ばれるためのAIO対策 5つの戦略

では、具体的に何をすれば良いのか。AIOで特に重要となる施策を順にご紹介します。

戦略1:ユーザーフレンドリーとマシンフレンドリー

人間が読みやすいコンテンツづくりは第一に重要ですが、AIに選ばれるために、マシンにも優しい(伝わりやすい/データを解析しやすい)コンテンツの作り方が重要となります。
AIは人間のように文章のニュアンスを汲み取ることが得意ではありません。AIがコンテンツの内容を正確に理解できるよう、情報の構造を整えてあげることが極めて重要です。

◎具体的なアクション
構造化データ(スキーママークアップ)を実装する:ページの裏側(HTMLのソースコード)に、専用のコードを設置し、そのページに何が記載されているのか、AIの理解を助ける実装をプラスする。

参考記事:URLはSEOに影響するのか?効果的なURL構造のポイントや変更方法を解説

戦略2:誰が読んでも分かる「明快な文章」を心がける

専門用語が多かったり、一文が長い複雑な文章は、AIが正しく解釈し、要約する際のノイズになります。AIに引用される文章は、人間にとっても分かりやすい文章となります。

◎具体的なアクション
・専門用語は避け、平易な言葉で説明する。
・一文は短く(60文字以内を目安に)、結論から先に書く「PREP法」を意識する。
・箇条書きや要点をまとめ、視覚的に理解しやすくする。

戦略3:「一次情報」と「独自性」で情報源としての価値を高める

AIは既存の情報を学習し、要約して回答を生成します。そのため、他のWebサイトにも書かれているようなありふれた情報では、引用される可能性は低くなります。AIにとって価値があるのは、そのWebサイトでしか得られないオリジナルの情報です。

◎具体的なアクション
・業界に関する独自のアンケート調査や市場レポートを公開する。
・顧客の成功事例や導入事例を詳細なインタビュー記事にする。
・自社製品やサービスに関する、他にはない深い知見やノウハウを提供する。

戦略4:E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を徹底的に強化する

従来のSEOでも重要だったE-E-A-Tは、AIに「信頼できる情報源」として認識されるために、その重要性がさらに増しています。AIは誤った情報を引用することを避けるため、情報の出所を厳しく評価します。

◎具体的なアクション
・著者情報ページを作成し、経歴や資格、SNSリンクを明記する。
・企業概要ページに、企業の沿革や理念、所在地を詳細に記載する。
・一次情報(独自調査、事例など)や公的機関のデータを引用し、情報の正確性を担保する。

戦略5:ブランドとしての「権威性」と「知名度」を確立する

「〇〇といえば、あの会社だ」というブランド認知は、AIにその分野の専門家として認識させる強力なシグナルとなります。「おすすめの〇〇は?」といった質問に対し、AIが自社の名前を挙げてくれることを目指します。

◎具体的なアクション
・業界の権威あるメディアやニュースサイトで言及されるような広報活動を行う。
・GoogleビジネスプロフィールやSNSアカウントの情報を整備し、ウェブ上でのプレゼンスを統一する。
・指名検索(「企業名 〇〇」)を増やし、自社がその分野の専門家であることをAIに認識させる。

まとめ : 検索の未来は「対話」。変化への第一歩を

検索の世界は、私たちが慣れ親しんだ「リンクの一覧」から、「AIとの対話」へとその姿を大きく変えてきています。この変化は、一部の専門家だけのものではなく、ウェブサイトで集客を行うすべての企業にとって避けては通れない現実です。
AIO対策は、一朝一夕で成果が出るものではありません。しかし、この変化の初期段階である今、正しい方向へ一歩を踏み出すことが、5年後、10年後のビジネスを大きく左右することでしょう。
AIの進化は検索体験だけでなく、クリエイティブな分野にも革新をもたらしています。例えば、画像生成AIを活用したSNS企画事例では、その無限の可能性の一端が示されています。

参考記事:10,000種類のフワちゃんが誕生!? 画像生成AI活用SNS企画制作秘話

「何から手をつければいいか分からない」 「自社サイトの現状を客観的に評価してほしい」
もしそうお考えでしたら、まずは自社の現在地を正しく把握することから始めてみませんか?

博報堂アイ・スタジオでは、貴社サイトの現状を分析し、今すぐ取り組むべきAIO対策の具体的なアクションプランをまとめた資料を無料でご提供しています。新しい時代のウェブマーケティングを勝ち抜くための羅針盤として、ぜひお役立てください。

執筆者
高野 祥宏(テクニカル・ディレクター)
最新技術をプロジェクトへ活用することが得意とする技術者。生成AIのブームの前から、深層学習などAIを活用する施策を進めている。
LLMだけではなく画像生成など幅広いAI領域にも対応。
AIと共創する社会を目指す。