2026年のマーケティングにおけるデータ活用は、「データの可視化」や「顧客分析」の域を超え、AIとの融合による非構造データの資産化と、それによる自動化へと進化しています。そこで重要になる「ファーストパーティデータ」を、いかに自社のAIで活用できるようにするかという仕組み作りが必要です。
サードパーティデータからファーストパーティデータへ
デジタルマーケティングに使うデータは、その情報由来によって大きく「ファーストパーティデータ(first-party data)」と「サードパーティデータ(third-party data)」に分けられます。近年、GDPRをはじめとするサードパーティクッキーの利用規制が強化されています。そのため、自社で直接取得する「ファーストパーティデータ」の価値が極めて高まっています。
参考記事:ファーストパーティデータとは。3つのデータ分類とデータマーケティング推進のポイント
ファーストパーティデータの例
データの分類 | 概要・特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
自社Webサイト・アプリでの | ユーザーが自社のデジタル資産の上で「どのような動きをしたか」を示す、リアルタイム性の高いデータ | 例)閲覧履歴、操作ログ、カート内状況、検索キーワード、アプリ利用状況、など |
購買・契約に関する | 顧客が「実際にいくら支払ったか」「現在どのような契約状態か」を示す、売上に直結するデータ | 例)購買履歴、サブスク契約状況、ポイント・クーポン利用、など |
顧客が自ら入力した | 会員登録やアンケートなど、顧客が自らの意思で自社に「宣言・提供」してくれた、最も確実な属性情報 | 例)個人情報(氏名、メールアドレス、性別、職業)、アンケート回答、など |
コミュニケーションやサポートの「対話・接客データ」 | 問い合わせやメルマガ、カスタマーサポートなど、顧客との直接のコミュニケーションを通じて得られる定性・定量のやり取りデータ | 例)チャットボットへのユーザーからの質問、メルマガの開封有無、メール内のどのリンクをクリックしたか、SFA/CRMの記録、など |
サードパーティデータとは
サードパーティデータとは、「自社とは直接関係のない第三者(広告配信会社やデータ販売会社など)が、別の場所で収集して提供・販売しているデータ」のことです。
近年、プライバシー保護の観点から世界的な法規制(GDPRやCCPA、日本の改正個人情報保護法など)や、Apple・Googleなどのプラットフォーマーによる技術的規制が急激に強まっています。
「誰が・いつ・何の目的で取得し、同意を得たのか」が不透明であるため、現代のデジタルマーケティングでは、適切な同意管理や法的リスクへの考慮が必要です。従来に比べて活用ハードルや精度の見極めが求められ、利活用におけるハードルや法的配慮の難易度が高まっています。
参考記事:ユーザーと信頼を築くゼロ&ファーストパーティデータ戦略
ファーストパーティデータ×AIでできること
「非構造化データ」をAIが宝の山に変える
ファーストパーティデータの中には、PV数やセッション数のような「きれいな数値データ」だけでなく、以下のような「非構造化データ」が大量に含まれています。
ユーザーがブラウズしたオウンドコンテンツの内容
チャットの問い合わせテキスト
アンケートの自由記述欄
これらは従来のシステムや人間が手作業で分析するには膨大かつ複雑すぎ、放置されがちでした。しかし、大規模言語モデル(LLM)などのAIは、この膨大なテキストデータを一瞬で分類・要約し、顧客の感情や本音(インサイト)を抽出するのが最も得意です。AIがあって初めて、眠っていたファーストパーティデータが「価値ある資産」として活用できるようになります。
リアルタイムにWeb接客へ反映
顧客がWebサイトやアプリで行う意思決定は、秒単位で変化します。
「どのような記事を熟読していたか」
「価格のページで3分迷っているな」
こうした秒単位のシグナルを、人間のマーケターが「ルール」を決めて手作業で処理し、瞬時にバナーを出し分けるといった対応をし続けるのは極めて困難です。このような「リアルタイムに発生するファーストパーティデータ」をAIに流し込むことで、瞬時にその人の意図を予測し、次の1秒で最適なコンテンツを生成・表示する「1対1のパーソナライズ」がWeb接客が可能になると考えられます。
ソリューション:匿名ユーザーをファンに育てる「関心推測AIエンジン」ソリューション
ファーストパーティデータを集めるには
自社コーポレートサイトや商品・サービスのマーケティングサイトのリニューアルや新規構築の際には、ブランディングやWebページ制作だけでなく、自社のデータ資産づくりのためにファーストパーティデータを収集する仕組みづくりも重要です。
1. Webサイト・アプリ行動データ
Googleタグマネージャー(GTM)などを介して、GA4や行動分析ツール(Mixpanel、Amplitudeなど)の計測タグをサイトに埋め込みます。ネイティブアプリであれば Firebase が該当します。ページビューだけでなく、ユーザーアクションなどの精度の高いデータを取得するには、専門家による設計が必要です。
2. CRM・アンケートフォーム
顧客が自らの意思で情報を入力してくれる「ゼロパーティデータ(宣言データ)」と、申し込みや購入などの「トランザクションデータ」を蓄積する仕組みです。SalesforceやHubSpotなどのCRMプロダクトを使うことが一般的です。どのような項目を必須とするかによってCVRが影響されるため、最適化を考慮する必要があります。個人情報を含む場合は、その管理についてガバナンスの策定が必要になります。
3. チャットボット
Webサイトのページ下部などに設置し、自由入力または選択式の会話形式で顧客の疑問に答えるものです。同時に、ユーザーが入力したテキストを蓄積して分析することで、顧客のインサイト(本音)を収集できる可能性が高まります。フォーム入力よりも心理的ハードルが低いのが特徴です。
4. 集約し結合する基盤(DWH)
上記1〜3の仕組みで集めたデータは、そのままでは各ツール(GA4、Salesforce、チャットツールなど)の中に孤立(サイロ化)してしまいます。これらを一カ所に集め、「Aさんという一人の顧客のデータ」として結合するのがデータウェアハウス(DWH)です。
まとめ:2026年のデータマーケティングで押さえるべき3つの要点
本記事で解説した、これからのオウンドメディアにおけるデータ活用の要点を3つにまとめます。
オウンドメディアは「コンテンツを届ける場」から「顧客を理解する場」へ
チャット型AIにより、単に情報を調べるだけのユーザーはAIの回答だけで満足する時代になると想定されます。それでも自社サイトに直接来訪するユーザーには明確な意図があります。その機会を逃さず資産に変えていきましょう。ファーストパーティデータ × AIによるパーソナライズの実現
従来のサイト内のユーザーアクションだけでなく、アンケート回答やチャットログなどの「言語データ(テキスト)」をAIに学習させることで、リアルタイムでパーソナライズされたWeb接客が可能になります。「サイロ化」を防ぐデータ基盤(DWH)の構築
各チャネルで集めたデータは、DWH(データウェアハウス)などで一元化し、横串を刺すようにIDで結合します。これでAIが顧客を統合して理解できるデータ資産として機能します。
博報堂アイ・スタジオでは、ファーストパーティデータを収集するためのオウンドメディア構築や、GA4・CRM・DWHの連携支援を行っています。また、ユーザーのインサイトを推測し対話を始める「関心推測AIエンジンチャットボット」といったソリューションもご用意しています。
「自社のデータ活用度合いを診断してほしい」「何から始めるべきか相談したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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