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「エンジニアじゃないから無理」は思い込み!非エンジニアの僕がAIを"相棒"にして業務効率化できた話

小川 公亮(ディレクター)
2026-03-10
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もう、「AI」や「ChatGPT」という言葉を聞かない日はありません。業務効率化や自動化ができるって話題ですが、実際のところ現場でどう活用すればいいのか、イメージが湧かないという方も多いんじゃないでしょうか?

「AIなんて、エンジニアとかITに強い人だけの話でしょ?」

そんなふうに思っている方にこそ、この記事を読んでいただきたいです。実は僕自身も非エンジニアで、2022年にChatGPTが出てきた時は、「すごい技術が出てきたな」程度の認識でした。

でも、実際に日々の業務でAIを検索ツールではなく「絶対に諦めない何でも屋さん」として使い倒してみたところ、蓋を開けてみれば業務の進め方が一変しました。面倒な確認作業がゼロになったり、一人で悩む時間が大幅に減ったりと、もはやAIなしの業務には戻れないなと感じています。

そこで今回は、実際に業務で行っているリアルなAI活用方法を3つに絞ってご紹介します。実はなんてことない、特別なスキルは必要ありません。必要なのは、思考の枠を設定してAIと対話すること、だけです。

【GAS生成】コードは「書く」より「頼む」が正解。非エンジニアの自動化術

業務でGoogleスプレッドシートやSlackを使っている方は多いと思いますが、Googleが提供する無料の自動化ツール「Google Apps Script(GAS)」を活用できてるでしょうか? 「プログラミングなんてわからないし…」と敬遠されがちですが、こここそがAIの出番なんです。

僕が実際に作ったのは、「Slackの対応漏れを自動で通知してくれるツール」です。

課題:埋もれる通知、削られる集中力

僕の仕事の一つとして、様々な問い合わせ通知がSlackに飛んできて、それの対応をする業務があります。対応したものにはスレッドで「済み」スタンプを押して管理していたんですが、通知量が多いと、未対応のものが画面の上の方に埋もれてしまい、気づかないうちに対応漏れが発生していました。

これを防ぐために、以前は定期的にSlackをスクロールして目視確認していました。単純作業ですが、神経を使うため、地味に時間と集中力っていう大事な資本が削られる業務でした。

解決策:AIと対話してツールを作る

そこで、「スタンプがない投稿を自動で教えてくれたらいいのに」と思い、AIに相談しました。 僕はエンジニアではないので、コードは書けません。やったのはAIとの対話だけです。

Step 1:要件の相談
まずは目的と背景を伝え、実現手段をAIに提案させます。最初はSlack画面から離れずにワンクリックで完了するという制約条件とあわせて、「Slackの標準機能(Workflow)でできないか?」とAIに聞きました。しかし「それは標準機能では難しい」と回答があったため、「じゃあGAS(プログラム)で作る方法を教えて。コードも書いて」と方向転換しました。

Step 2:詳細の指示
やりたいことを人間にお願いするように具体的に伝えます。僕は以下のように指示しました。
「特定のチャンネルにファイルが送られてきます。それに対して対応したら『済』のスタンプを押しているのですが、それがないものを定期的に洗い出して、その投稿へのリンクをリスト化して定期的にそのチャンネルに投稿してほしいです」

Step 3:エラー修正
エラーが出ても諦めず、メッセージをそのままAIに投げます。AIはすぐにコードを書いてくれましたが、最初から完璧に動くとは限りません。エラーが出たときは、そのエラーメッセージをそのままコピーして「こんなエラーが出たよ」とAIに投げるだけ。すると、「すみません、ここを修正しました」と新しいコードを出してくれます。これを数回繰り返すだけで、ツールが完成しました。

結果:確認時間「0秒」へ

結果、URLをワンクリックするだけで、未対応のタスクが一目でわかるようになりました。 目視チェックにかけていた時間が「0秒」になっただけじゃなくて、見落としがあるかも…という精神的な不安からも解放され、別の仕事をしている時に「なんか漏れてる通知あったっけ」という強制的にマルチタスク状態から抜け出すことができるようになりました。

「コードを書く」んじゃなくて「欲しい結果のイメージを具体的に伝える」。これだけで、非エンジニアでも業務アプリは作れちゃうんです。

【議事録生成】会議後の「あの時間」を30分以下にする最強フロー

毎回の会議で発生する「議事録作成」。みんなあまり読まないのに、人力で作ると時間がかかる。でも、会議中に記録を取ることに集中しすぎると議論に参加できない…そんなジレンマありませんか? 僕は、精度を落とさず、かつ人力よりも圧倒的に早く終わらせるために、AIをフル活用した独自のフローを構築しました。

これによって、どんなに重い会議でも作成時間は30分未満。コピペ作業だけなら10分で終わります。

秘訣は「AIと人間の役割分担」

ポイントは、AIに丸投げするんじゃなくて、「人間しかできないこと(=現場の事実確認)」と「AIが得意なこと(=整理・清書)」を分けることです。

具体的な手順は以下の通りです。

Step 1:会議中のメモ(人間)
会議中は、録音を回しながら「発言者」と「主なキーワード」だけをメモします(例:田中部長:来週公開 診断状況 知りたい)。
これなら議論が白熱しても置いていかれませんし、さらに、録音データからは分かりにくい「誰が言ったか」という重要な事実を人間が担保できます。

Step 2:文字起こし(AI)
会議が終わったら、録音データをNotebookLMなどのAIツールに読み込ませて文字起こしをします。

Step 3:誤字脱字の修正(AI)
Geminiのカスタム機能(Gems)を使って、「誤字脱字修正専用のAI」を作っています。あらかじめ「出席者リスト(漢字・読み)」「社内用語・固有名詞リスト(漢字・読み)」を登録してあるので、文字起こしデータと会議資料を渡すだけで、人名や専門用語を完璧に修正してくれます。これで手直しの手間がほぼゼロになります。

Step 4:議事録の生成(AI)
次に、修正されたテキストを「議事録生成専用のAI」(これもGemsで作成)に渡します。 ここには過去の議事録を学習させてあり、「いつものフォーマット」で出力されるように設定しています。これにより、ゼロから体裁を整える必要がなくなります。

Step 5:仕上げ(人間)
最後は答え合わせです。AIが出力した議事録を、Step 1で取った「キーワードメモ」と照らし合わせ、キーワードメモに該当する文章をAIの出力内容からコピペして置換するだけです。

このフローなら、一から文章を考える必要は一切ありません。人間は照らし合わせて判断するだけ。人間以上の粒度で、人力より時短が実現できます。
AIと人間の役割分担で、議事録作成時間が劇的に短縮できました。

【構成相談】資料作成の「言いたいこと多すぎ問題」を解決する

プレゼン資料を作る時、一番パワーがかかるのは構想段階ではないでしょうか? 特に、自分が担当している専門的な業務について話す時、「言いたいことが多すぎてまとまらない」「一般の人にどう伝えればいいかわからない」という壁にぶつかりがちです。

僕も先日、自分の業務内容を発表する場があり、まさにこの状態に陥りました。そこで、AI(Gemini)に「思考の枠を設けた壁打ち相手」になってもらいました。

「知らない人」になってもらう

僕はAIにこう指示しました。「あなたは、私の業務内容を全く知らない、あるいは名前くらいしか聞いたことがない聞き手になってください」

その上で、作成途中の資料や、頭の中にある言いたいことを箇条書きで全てAIに投げ込みました。

客観的な「引き算」を手伝ってもらう

すると、AIは客観的な視点で冷静にフィードバックをくれました。

  • 「この話とこの話は繋がっていますが、こちらのトピックは今回の目的から遠いので外したほうがいいです」

  • 「専門用語が多すぎます。ここは〇〇という表現に変えたほうが伝わります」

このように、思考の整理と「情報の引き算」を手伝ってもらいました。 また、ストーリー展開についても「A案:課題解決型」「B案:ストーリーテリング型」のように複数の観点で提案をもらえたことで、視野を広く保ったまま構成を練ることができました。AIは諦めずに、こちらの疑問にとことん付き合ってくれる、最高の壁打ち相手なんです。

最後に

AIは「人間の仕事を奪うもの」じゃなくて、人間の仕事をサポートし、限りある時間資本の中でより多くのことに挑戦させてくれる強力なパートナーです。

今回ご紹介した活用法に共通するのは、AIに丸投げするんじゃなくて人間が司令塔になる、ということです。 やりたいことを伝え、素材を渡し、最後にチェックする。このプロセスさえ握っておけば、AIは僕たちの能力を何倍にも拡張してくれます。

まずは小さな業務から、AIという優秀なアシスタントに頼ってみてはいかがでしょうか?

よくある質問

Q1. 「指示(プロンプト)」をうまく書ける自信がありません。コツはありますか?

A1. 難しい言葉は不要です。重要なのは「目的」「背景」「制約条件」の3つをセットで伝えることです。 「何のためにやるのか(ゴール)」「なぜやるのか(経緯)」「やってはいけないこと(ルール)」をAIが理解できれば、AIの思考の枠を正しい方向に固定できます。

Q2. AIが出したコードや議事録が間違っていることはありませんか?

A2. はい、間違えることはあります。ですので、最終的な出力結果を人間が精査することは必須です。 あくまで「AIは優秀なアシスタント」であり、結果に対して責任を持つのは私たち人間です。AIが生成してきた出力結果を人間が精査し、結果に問題があれば指摘するフローでAIの精度を向上させつつ、責任の所在をはっきりとさせた活用が大事になります。

Q3. そもそも「自分の業務のどこでAIを使えばいいか」が思いつきません。

A3. 「何かしら叩き台が必要な作業」は、すべてAIの出番です。例えば、提案書の構成案、相手の感情に配慮が必要なメールの返信、深い思考の整理などは、AIと対話することで質とスピードが上がります。また、議事録のような単純作業もAI前提で進めるべきです。逆に、「完成までのプロセスが完全に見えている作業(例:決まった数字を定例資料に入力するだけ)」は、AIにやらせて間違いチェックをする手間の方がかかるので、自分でやるか別の自動化手段を検討した方が良いでしょう。

Q4. 毎回ゼロから指示を書くのが面倒です。効率化するコツはありますか?

A4. 仕組み化と辞書登録が鍵です。僕の場合、繰り返し発生するタスクは「Google Apps Script (GAS)」や「Gems(カスタムAI)」を使って必ず仕組み化し、時間資本を浪費しないようにしています。また、もっと手軽な方法として、よく使うプロンプトをPCの「ユーザー辞書」に登録しておくのもおすすめです。「はじめの3文字」を打てば指示の全文が出るようにしておくだけで、日々のストレスが大きく減りますよ。

Q5. AIを使うようになって、仕事の進め方や意識はどう変わりましたか?

A5. 「AIを使うことを前提」とする意識に変わりました。AIに指示を出すためには、自分の中で目的や背景を言語化する必要があります。出力結果を想定しながら対話することで、自分自身も深く考えるようになり、AIからのフィードバックで思考の枠が広がります。

さらに言うと、新しい技術を習得するには、最初は少し無理やりにでも「AIを使う」と決めてしまうのが近道です。僕も最初は「これ、自分でやった方が早いのでは?」とピンとこない場面が多々ありました。それでも、あえてAIに触れる回数を増やし、どう指示すれば動いてくれるか、を考え続けたことで、いつの間にか息をするように活用できるようになりました。


日々の業務で、自分の思考の枠を超えて「壁打ち相手」になってくれるAI。実はなんてことない、僕個人にとってはすでに欠かせない「相棒」です。

博報堂アイ・スタジオの本業であるWebサイト制作の現場においても、蓋を開けてみればAIはもはや無視できない存在になっています。
企画、デザイン、コーディング、そして公開後の運用。あらゆるプロセスにおいて、AIといかに共生し、限られた「時間資本」を有効に使うか。これはこれからのメディア運営において、避けては通れない標準的なスキルになっていくはずです。

こうした現場での泥臭い実践から得た知見を活かし、博報堂アイ・スタジオでは、企業のオウンドメディアをAI時代に最適化するソリューションを提供しています。

個人の効率化はもちろん大事ですが、そこから一歩踏み込んで、組織としての発信力をどう強化するか。
気合と熱量を持ってこれからのメディア運営に向き合っている方にこそ、ぜひ私たちのソリューションをチェックしてみてほしいなと思います。

執筆者
小川 公亮(ディレクター)
2024年入社 東京都出身
Webディレクターとして、Webサイトの制作・運用に従事。Webマスターとしてクライアントの国内外のサイトの品質管理も行う傍ら、最新AIを自ら体験して得た知見を活かし、業務プロセスの刷新や生産性向上を推進している。好きなものはカメラ。
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