メールマーケティングの費用対効果とは?
まず、メールマーケティングの費用対効果について詳細を確認しておきましょう。
※ROIの基本的な定義、計算方法ついては、まずこちらの記事をご覧ください。
参考記事:ROIとは?基本の計算式とROASとの違い、実務での活用例をわかりやすく解説
メルマガはマーケティング手法の中でも費用対効果が高い
メルマガ(メールマガジン)は顧客のメールアドレスさえあれば手軽にスタートでき、郵送費・印刷代や高額な広告費なども一切かかりません。
事実、DMA(ダイレクトマーケティング協会)の調査でもメルマガに1ドル投資すれば、38ドルの効果が期待できると報告されました。また、イギリスの調査会社Adestraのリサーチでは、マーケティング手法の中で最もROIが高いのはメルマガ配信であることが明らかになっています。
このように、メールマーケティングはコストパフォーマンスに優れた手法であり、投資する価値が高い施策であることがわかります。
メールマーケティングにかかる費用
メールマーケティングの実践にあたり、必要な経費は人件費と配信ツール利用料の2種類です。
コンテンツ作成や配信設定、効果測定などは人の手で行うため、メールマーケティングの運用には最低限の人件費が欠かせません。
加えて、メールマーケティングツールを利用する場合は定期的な費用が必要です。手動でのメール配信には限界があるため、ほとんどの企業がツールを導入しています。
そもそもメールマーケティングの基本的な手法や設計手順について詳しく知りたい方は、「メールマーケティングとは?手法や設計手順・評価指標などポイントを徹底解説!」も併せてご一読ください。
メールマーケティングのROI計算方法
社内で施策の必要性を説明するために、具体的な数値シミュレーションは欠かせません。ここでROIの計算方法をマスターしましょう。
ROIは、「かけた費用に対して、どれだけの利益が生まれたか」を示す指標であり 、以下の基本式で計算します。
ROI (%) = (メールマーケティングによる売上 - 投資額 ) ÷ 投資額 × 100

BtoBにおけるROI計算シミュレーション
BtoBビジネスの場合でも、まずはシンプルにメール経由で発生した直接的な売上を用いてROIを計算することができます。
前提条件(月間投資額と売上)
・MAツール利用費:100,000円
・運用、制作費(戦略設計、コンテンツ制作、分析人件費など):500,000円
・売上(メール経由で受注した金額):1,800,000円
ROIの計算
ROI = ( 1,800,000円 ー 600,000円 ) ÷ 600,000円 × 100 = 200%
この計算の結果、投資額60万円に対し、120万円の利益が生まれたことになり、ROIは200%となります。
売上に関する補足(商談の期待値)
BtoBなどの検討期間が長い商材では、メール施策が即座に売上確定しないケースが多いため、上記の「売上には商談の期待値を用いるのが一般的です。これはメール経由の商談化数に平均単価と受注率を掛けて算出します。 今回のシミュレーションにおける売上180万円は、以下の期待値計算に基づいています。
商談化数 3件 × 平均単価 300万円 × 受注率 20% = 1,800,000円
メールマーケティングの費用対効果が高い理由
次に、メールマーケティングのコストパフォーマンスが良い理由を3つみていきましょう。
低予算で始めることができる
メールマーケティングに必要な費用は人件費を除けば月々数千〜数万円と安価です。
SNS運用・広告掲載などにかかるプラットフォーム利用料や、ダイレクトメール(DM)に必要な封入作業やデザイン費などと比較すると、はるかに安くすみます。
また、メール作成は会社員にとって馴染み深い作業であり、特別なノウハウも不要なので、まず初めて見るという段階では外注費をかける必要もありません。
既にある顧客情報を活用できる
メールマーケティングは、いちから顧客情報を入手する手間がかかりません。
配信に欠かせないメールアドレスは誰もが持っているため、自社に蓄積した名刺や顧客リストから施策をスタートできるのは大きなメリットです。
また、すでに関係構築が済んだ既存顧客へ効果的にアプローチできれば、より成果や売上に直結しやすい傾向があります。
顧客に情報を直接届けることができる
オウンドメディアやWeb広告などは、誰に読まれるか・表示されるかをピンポイントで選択することはできません。
しかしメールであれば確実にターゲットの受信箱に届けることができるうえ、読者の属性を絞り込んで相手との関係性や購買意欲に合わせた情報提供が可能です。
例えばBtoCであればキャンペーンや新商品の告知、BtoBであれば業界の最新ニュースや展示会のお知らせなどタイムリーな話題を選択することで、クリック数や開封率を向上させやすくなるでしょう。
メールマーケティングの実施に必要なツール
メールマーケティングの効果を最大化するには、ミス無く正確に大量のメールを配信できる「メールマーケティングツール」が不可欠です。
いつまでも手作業に頼ったメール配信を行っていると、一斉送信の際にToとBCCを設定し間違えるなど、情報漏洩が起こる危険性はなくなりません。
自社のビジネス規模を拡大するためにも、大量配信をこなせ、信頼できるツールを早めに導入することが重要です。
メール配信システム
メール配信システムは、メールマーケティングに特化したツールです。
配信メール数に応じた従量課金制が多く、月額費用は無料から平均数千円と比較的低予算からスタートできます。
メールの一斉配信や大量送信のほか、配信リスト管理、簡易的な分析機能などが搭載されていることが多いです。
マーケティングオートメーション(MA)
MAは、もともとマーケティング活動全般を効率化するための支援ツールです。
精度の高いメール配信に加え、各種広告やWebサイト管理、データの数値化や計測、アナリティクスなど、いままで人が行っていた作業を自動化し、デジタルマーケティングを強化してくれます。
高機能ながら無料から高額なものまで費用には幅があるため、自社課題やニーズ、事業規模によって最適なものを選択しましょう。
参考記事:HubSpotを活用したインバウンドマーケティング:料金表やプランを解説
ROIを最大化!すぐにできる4つの施策
一斉配信から一歩進み、ROIを本気で高めたいなら、以下の4つの施策に取り組みましょう。
施策1:A/Bテストによる継続的な改善
勘や経験だけに頼らず、データに基づいて改善することがROI向上の基本です。A/Bテストとは、一部の要素だけが異なる2パターン(AとB)のメールを配信し、どちらが高い成果を出すか検証する手法です。

テスト要素の例
・件名: 最も重要な要素です。【新機能】vs〇〇様のお悩みを解決
・CTAボタン:資料ダウンロードはこちらvs今すぐ無料で試す(文言、色)
・送信者名: 株式会社〇〇vs〇〇(担当者名)
まずは件名のA/Bテストで開封率を改善するだけでも、ROIは向上します。
開封率の改善はROI向上に不可欠です。具体的な改善ポイントについてはメルマガ開封率を上げる7つのポイント!業界ごとの平均値やMAツール導入の利点についても解説で詳しく説明しています。
クリック率向上の具体的なテクニックはメルマガクリック率を上げる7つのポイントで解説していますので、ぜひご覧ください。
施策2:個に寄り添うパーソナライズ
顧客全員ではなくあなた」個人に向けた情報を届ける工夫です。
・初級編)名前の差し込み: お客様へではなく〇〇 様へと件名や本文冒頭に名前を入れるだけ。
・中級編)属性に合わせたコンテンツ表示: 同じメール内でも、製造業の人には製造業の事例を、小売業の人には小売業の事例を自動で表示し分けます。
・上級編)行動履歴に基づくレコメンド: あなたが前回チェックした商品や関連するコラムなど、その人の行動に基づいた情報を届けます。
施策3:セグメント配信と配信タイミングの最適化
全顧客に同じ情報を送るのではなく、顧客を属性や関心度で分類(セグメント化)し、そのグループに最適な情報を送ります。
・セグメント例: 業種別、役職別、過去の購入商品別、eBookダウンロード者など。
・配信タイミング: BtoBなら平日の業務時間中(例:火~木曜の10時)、BtoCならターゲットの生活時間(例:夜20時)など、セグメントごとに最も読まれやすい時間を狙って配信します。
施策4:休眠顧客の掘り起こしメール
成約に至らず失注した顧客に対し、近況確認や新たなオファーなどのフォローアップメールでアプローチする手法です。
過去に関係構築が済んでいる顧客なので取り組みやすく、もし反応があれば新規顧客より低コストで商談化しやすいことが特徴です。
今からでもメールマーケティングを始めるべきか
SNSやチャットアプリなどの台頭で「メルマガはもう古い!」と言われ、メールマーケティングに取り組むべきか悩んでいる担当者も多いでしょう。
しかし、メールマーケティングは決して時代遅れの手法ではありません。
ビジネスシーンではメールは多く使われている
確かにプライベートでメールを利用する機会は少なくなりましたが、ビジネスパーソンの間での連絡は今でもメールが主流です。そのため、企業をターゲットとするBtoBマーケティングにおいて、メールマーケティングは現在でも高いコンバージョン率を期待できる有力な手法であることは変わりません。
NTTドコモのモバイル社会研究所が2024年に実施した「一般向けモバイル動向調査」では、全国15〜79歳のうち、メールやメッセージを毎日利用している人が8割を超えており、年代を問わずデジタルコミュニケーションが日常的に行われていることが分かっています。
メルマガ市場は現在も拡大中
グローバル市場調査を行うフォーチュン・ビジネスインサイツの報告をみると、2022年に12億6千万ドルだったメールマーケティングツール市場は2029年までに2倍以上の27億6千万ドルに成長すると予測されています。
つまり、世界中で今でもメールマーケティングの需要は高まり続けているのです。
これは、メールマーケティングが今後も世界中で重視されているマーケティング手法であることの証明ともいえるでしょう。
メールマーケティングは費用対効果が高く見込み顧客に訴求しやすい
メールマーケティングは費用対効果が高いうえ、継続的な関係構築が必要なリードナーチャリング(育成)やリピーター獲得に最適な施策です。
まずはMAツールなどの無料プランを活用し、既存顧客リストの整理やメルマガ配信を始めてみましょう。
メールマーケティングのROIに関するよくある質問
Q1. メールマーケティングで本当に成果が出るのか不安です。
A. 自己流でなんとなくやっていては成果は出ません。成果を出すためには、KGI/KPIの設計からターゲット定義、コンテンツ作成、そして配信後の分析まで、成功率を高めるための鉄板のステップがあります。詳細は、メールマーケティングの始め方!成果を出すための手順・ツール・事例を解説をご確認ください。
Q2.ROIを上げるために、メールマーケティング以外の手法も気になります。
A.メール単体ではなく、インバウンドマーケティング全体で考えることがROI向上の近道です。 ブログ等で集客し(Attract)、メールで顧客化する(Close)一連の流れを構築すれば、コンテンツが資産となり、広告費に依存しない高収益な仕組みが完成します 。インバウンドマーケティングについては、インバウンドマーケティングとは?成功させる4つのステージをご確認ください。
Q3.ROIと似た言葉で「ROAS」も聞きますが、違いは何ですか?
A. ROIは利益率、ROASは売上対広告費です。 ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費に対してどれだけ売上が上がったかを見る指標で、主にWeb広告で使われます。
一方、メールマーケティングは人件費やツール費などを含めた投資全体対する利益を見るべきなので、ROIで評価します。詳細は、ROIとは?基本の計算式とROASとの違い、実務での活用例をわかりやすく解説をご確認ください。c








