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発信から実践へ。SDGsを伝える企業が知るべきWebサイト自体のサステナブル化

山中 盛(プロデューサー)
2026-09-30
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企業のSDGsへの取り組みを伝えるコーポレートサイト。しかし、そのWebサイト自体が環境に負荷をかけているとしたらどうでしょうか。インターネットのデータ通信やサーバーの電力消費は、多くのCO2を排出しています。これからの時代、サステナビリティを発信するだけでなく、Webサイトそのものをサステナブルにすることが求められています。その重要性と実践方法を事例を交えて解説します。

コーポレートサイトでサステナビリティを伝える重要性

近年、多くの企業がSDGsやサステナビリティへの取り組みを本格化させています。それに伴い、自社の姿勢や具体的な成果を伝えるための重要なプラットフォームがコーポレートサイトです。

生活者が商品やサービスを選ぶ際、その企業が社会や地球環境に対してどのような責任を果たしているかを重視するようになっています。単に優れた製品を提供するだけでなく、持続可能な未来へどのように貢献しているかという透明性のある情報開示を行うことが、生活者から長く愛され、選ばれるためのカギとなります。

ここで意識しなければならないのは、単に「このような活動をしています」という綺麗な言葉を並べるだけでは、共感を生みにくいという点です。コーポレートサイトで発信する情報には、具体的なデータや誠実な姿勢が求められます。そして何よりも、「メディアそのもののあり方」にまで企業の誠実さが表れているかどうかが、これからの時代の新しい評価基準になっていくと考えています。

Webサイト運営が地球に与える負荷とは?

インターネットの利用が日常的になり、生活が便利になる一方で、その裏側にあるICT(情報通信技術)分野が地球環境に与える負荷が無視できない状況になっています。意外に知られていないことですが、世界の温室効果ガス排出量のうち、実に1.8%から2.8%(※1)をこのICT分野が占めており、これは1つの国とみなせば世界第4位(※2)に相当するほどの規模です。

私たちが毎日何気なくアクセスしているWebサイトも例外ではありません。動画や大量の画像をスムーズに表示するためには、データセンターにあるサーバーが絶え間なく稼働し、莫大な電力を消費し続けています。

つまり、サステナビリティの取り組みをいくら熱心に発信していても、その情報を届けるWebサイト自体が重く、非効率な設計であれば、知らず知らずのうちに地球環境へ負荷をかけてしまうという矛盾が生じてしまいます。この負荷に真摯に向き合うことも、企業の責任の1つ考えられます。

※1:独アリアンツの調査レポート(2023年発表:Decarbonizing ICT)や、環境分野権威のイギリス・ランカスター大学の研究チームなどが算出している推計データに基づいています。

※2:サステナブルなWebサイトの普及を目指す国際組織「Eco-Friendly Web Alliance」などのレポートで広く用いられている比喩表現です。

これからの新常識!? Webサイト自体のサステナブル化

では、コーポレートサイトをサステナブルにするとは、具体的にどういうことなのでしょうか。

それは単に環境への配慮を謳うことではありません。Webサイトにアクセスした際のエネルギー・資源の最小化、あらゆる人が快適に利用できるウェブアクセシビリティ、そして誇大広告のない情報提供といった条件を、技術とデザインの力で満たしていくことを指します。

具体的には、プログラムのコードを軽量に整えたり、画像のファイルサイズを最適化したり、環境に配慮したグリーンエネルギーで動くサーバーを選択したりするアプローチが挙げられます。

「環境のために、デザインや機能を我慢しなければならないの?」と思われるかもしれません。しかし、実はその逆です。サステナブルを意識してデータ量を削ぎ落としたWebサイトは、結果としてページの読み込み速度が圧倒的に速くなるというメリットを生み出します。表示が速くなれば、訪れたユーザーのストレスが減り、快適なUI/UXが実現します。

地球環境に優しく、同時にユーザーにとっても使いやすい。これからのWebサイト戦略において、デジタルサステナビリティは企業の競争力を高める味方になりえます。

【事例】地球中心デザイン研究所(ECD)に学ぶ、サステナブルとクリエイティブの両立

地球環境への優しさと高いクリエイティブの両立を目指した事例をご紹介します。
ビジネスや社会の仕組みを持続可能にデザインする「株式会社地球中心デザイン研究所(ECD)」様のコーポレートサイトリニューアルの取り組みです。

リニューアル前の同社サイトは、サステナビリティを評価する国際的なツール「Ecograder」において、最低ランクの「E」でした。

このリニューアルでは、制作実績などの情報量を大幅に増やしつつ、いかにサイトの重さを抑えて環境負荷を減らすか、にチャレンジしました。

ECD様とともに導き出した答えは、徹底的な引き算の設計とデザイン。特に、最も環境評価に影響を与える画像の使い方において、次の3つの視点を常に意識しました。

  1. その画像は本当に必要か

  2. その画像は初めから表示されているべきか

  3. その画像は大きいサイズであるべきか

この視点に基づき、画像を次世代フォーマットの「WebP(ウェッピー)」で統一。さらに「READ MORE(もっと見る)」ボタンの中にコンテンツを格納することで、最初のページ読み込み時に消費されるデータ容量を劇的に削減しました。

これほどの制約がありながら、味気ないサイトにはなっていません。ブランドの象徴である地球のイラストを活用し、重要なポイントにのみアニメーションやインタラクションを絞って注力することで、世界観や遊び心をダイナミックに表現したからです。

結果、環境評価は最低のEランクからCランクへと改善されました。これは現在の日本のWeb業界において、非常に先進的で価値のある成果です。クリエイティブを一切妥協せず、知恵と技術で地球に寄り添う。まさに、私たちが目指すべきこれからのコーポレートサイトの理想像です。


すぐ始められるサステナブルなWebサイト運用への第一歩

サステナブルなWebサイトの重要性や事例を知ったとき、どこから手をつければいいのか悩まれるかもしれません。しかし、大がかりなリニューアルを一度に行う必要はありません。まずは、自社サイトがどれくらい地球に負荷をかけているかを知ることから始めてみましょう。

Ecograderのような無料の評価ツールを使えば、現在のWebサイトが消費しているエネルギーや、改善すべきポイントが視覚的に把握できます。

現状を把握した後は、日ごろの運用プロセスのなかで、できることから段階的にアップデートを重ねていきます。

例えば、以下のような小さな取り組みの積み重ねが、大きな成果へとつながります。

  • 新しく掲載する画像のファイル形式を、軽量なWebPに統一する

  • 不要になった古いページや、使われていない大きなデータを整理する

  • 次回のシステム更新のときに、環境配慮型のグリーンエネルギーを使用しているサーバーへの移行を検討する

また、社内関係各所へデジタル領域のサステナビリティについて発信していくことも大切な一歩です。デザインチームやマーケティングチームと「この画像は本当に今すぐ大きく表示すべきか?」といった視点を共有していくことで、社内全体の意識が徐々に変わり、持続可能な運用の基盤が整っていくはずです。

持続可能な未来へつなぐWebサイト戦略

企業のSDGsへの取り組みを伝えるコーポレートサイトは、いわば企業の顔であり、誠実な姿勢を示す鏡です。だからこそ、その情報を載せるWebサイト自体もまた、サステナブルで美しくあるべきです。

生活者は企業の言葉だけでなく、実践の姿勢を見ています。「環境に配慮しています」というメッセージが、環境に優しいWebサイトを通じて届けられると、その信頼性は格段に高まるはずです。

環境負荷を減らしながら、クリエイティブで生活者の心を動かす。そんな未来を見据えたWeb戦略を、一緒に進めていけることを楽しみにしています。まずは1つひとつの画像、1つひとつのデータの見直しから、持続可能な未来への一歩を踏み出してみませんか。

サステナビリティ経営の成功に必要な戦略と具体的ノウハウを網羅した実践ガイドを無料でダウンロードいただけます。ぜひ、お役立てください。

執筆者
山中 盛(プロデューサー)
デジタルマーケティング企業でのWeb広告ディレクションを経て2020年博報堂アイ・スタジオ入社。各種Webサービスや会員サイトの立ち上げからグロースまで、UX最適化とシステム設計に強みを発揮。高速PDCAを回すプラットフォーム案件を中心に従事。
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