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MA(マーケティングオートメーション)の導入コストと効果について

田中 剛(マーケティングコンサルタント)
2023-08-10
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マーケティングオートメーション(MA)とは、デジタルマーケティングにおけるOne to One コミュニケーションを自動化する強力なツールです。新規顧客獲得から見込み客育成まで幅広い範囲に対応し、今やデジタルマーケティングの重要な要素と言えます。ここでは、MAの導入に伴うコストと期間について詳しくご説明いたします。

MAツールの​具体的な​機能や、​その​導入に​よってどのような​課題が​解決できるかに​ついては、​MAツールに​できる​こと5選!​MA導入に​悩む企業に​むけて​わかりやすく​解説」で​詳しく​解説しています。​

MA(マーケティングオートメーション)の導入コストと期間

MAツールを導入する際には、初期費用と月額費用が発生します。一般的な導入コストの目安として、ライセンス費用やカスタマイズによる初期費用が約200万円から500万円程度と考えていただければ良いでしょう。

HubSpotに​おける​各Hubの​具体的な​料金プランや、​インバウンドマーケティングへの​活用方​法に​ついては、​「HubSpotを​活用した​インバウンドマーケティング:料金表や​プランを​解説」を​ご参照ください。​

また、導入期間には通常3~6カ月程度の時間がかかります。この間にシステムのカスタマイズやデータ移行、スタッフのトレーニングなどが行われ、スムーズな運用に備えます。

さらに、MA導入の際に見逃せないのが「システム連携のコスト」です。大規模な導入を行う場合、既存のCRMや基幹システム、SFAなどとの連携が必要となることがあります。これによって効果は大きく向上しますが、連携には手間とコストがかかることを考慮してください。

な​お、​HubSpotは、​CRM、​リード育成など​多機能で、​データ連携・統合も​Salesforceと​連携可能です。​HubSpot Marketing Hubに​おける​具体的な​料金プランや、​その機能、​メリット・デメリットに​ついては、​「HubSpot Marketing Hubの​特徴とは?​機能・料金・メリットデメリットを​紹介」を​ご参照ください。​

MA(マーケティングオートメーション)の運用におけるポイント

MAツールの運用は導入だけでなく、運用段階でこそ本来のパフォーマンスを発揮します。以下に運用におけるポイントをご紹介します。

運用リソースの確保

MAを導入しても、効率的なマーケティング戦略を展開する上で重要なツールですが、その効果を発揮するには、十分な運用リソースが必要となります。運用リソースが不足していることで、利活用が進まなかったり、機能を十分に使いこなせなかったりと、MAの導入効果が半減するどころか、負債になってしまうことも少なくありません。MAツールの効果を最大限に引き出すためには、専任のスタッフやチームを運用に従事させることが重要になります。

具体的な​プロジェクトの​流れと​必要な​体制に​ついては、「​MAツールの​導入に​必要な​体制と​プロジェクトの​流れ」で​詳しく​解説しています。​

コンテンツ戦略の策定

MAツールを利用すれば、設定した条件に基づき、自動でリードをセグメントし、最適なコンテンツの提供を効率よく行えますが、それには、コンテンツ戦略が必要です。カスタマージャーニーマップを作成し、それに基づき、顧客のニーズに合致したコンテンツを計画し提供することで、顧客エンゲージメントの向上が期待できます。また、カスタマージャーニーマップは定期的な見直しが必要です。MAツールを利用することで、リードの行動が可視化されるため、データドリブンにカスタマージャーニーマップを最適化することが可能になります。

データ分析と最適化

MA導入時には、顧客データをクレンジング(整理・正規化)し、必要なデータを統合しておくことが重要です。データの品質向上により、正確なターゲティングとセグメンテーションが可能となります。MAツールが提供するデータ分析機能を活用して、定期的にキャンペーンの成果をモニタリングし、戦略を最適化することで、投資対効果を向上させることが可能です。

MA(マーケティングオートメーション)導入の成功要因

ニーズとゴールの明確化

MAツール導入に際しては、明確な目的と期待される成果を設定することが重要です。ステークホルダーと協力してMA導入の方針やゴールを共有し、円滑なプロセスを確保しましょう。

MA導入の目的と期待する成果を明確にし、戦略的なゴールを設定することが重要です。留意すべきポイントとしては、ステークホルダー(関係者)の関与です。MA導入だけでなく、運用にかかわるステークホルダーを明確にし、意見を集約しておきましょう。これにより円滑にMA導入を進めることが可能となります。

また、期待する成果の定義についても、ステークホルダーはもとより、経営層との議論・合意形成も行えればベストです。

データの活用とセグメンテーション

顧客データを活用した効果的なターゲティングとセグメンテーションが成功の鍵です。MA導入前にデータのクレンジングと統合を行い、品質向上を実現しましょう。また、定期的にデータのクレンジングは必要となるため、予算やリソースを確保しておくことも必要です。

MA(マーケティングオートメーション)導入の効果を計る指標

マーケティングROI

マーケティングROIは、投資したコストに対して得られた成果を測る指標です。MA導入前後のROIを比較すれば、MA導入により、売上にどれくらい貢献できたかが判断できます。

リード品質とコンバージョン率の向上

MAを使用することで、興味を持つリードを獲得し、それらのリードを育成してコンバージョンに導くため、コンバージョン率の向上が期待できます。コンバージョン率の向上も、MA導入の成功を示す指標として利用できます。

この​「興味を​持つリード」を​効果的に​特定し、​コンバージョン率を​高める​ための​具体的な​手法と​して、​リードスコアリングが​あります。​その​詳細に​ついては​「HubSpotの​リードスコアリング完全ガイド」で​解説しています。​

効率と生産性の向上

MAの導入により、マーケティングプロセスが効率的に自動化されることで、業務の効率と生産性が向上します。自動化によって、時間のかかる繰り返し作業や手動のタスクを削減できるため、マーケティングチームは戦略的な活動に集中することができます。MA導入前後の業務効率を評価し、時間とリソースの節約度を定量化して、ROIを計測しましょう。

まとめ

  • MAツール導入は、初期費用と月額費用で、200万円から500万円程度が一般的。

  • MAツールの運用は、専任スタッフやチームの確保が必要で、運用段階でパフォーマンスを発揮します。

  • MA導入を成功に結び付けるには、適切な戦略が必要です。

  • MA導入においては、効率と生産性の向上率でROIを評価しましょう。

執筆者
田中 剛(マーケティングコンサルタント)
マーケティングコンサルタントとして、専門分野はデジタルマーケティング領域(HubSpot、Webマーケ、SEO、データ分析)を中心に担当。中小企業向けのマーケティングDXコンサルティングほか、大手電力会社・郵便会社などのデータ分析業務を中心に業務に携わりつつ、宣伝会議などでセミナー講師なども行う。