難しいことは簡単に言いたい、気概としてはコンサルとして

普段、どのような仕事をしていますか?
「もともとはエンジニアだったんですが、今は技術面の課題に対して、解決策となる方針や手法を提示して、制作やプロジェクトの段取りを考える仕事をしています。制作する際の技術的な課題や、各担当者がやるべきことを整理して進行しています。」
今の業務に至ったきっかけは?
「入社して数年は、いいものを作ればそれでいいと思っていたんですけど、年次があがるにつれ自分は職人気質ではないし、エンジニアスキルとしては後輩の方がすごいって思う。エンジニアとしての制作に限界を感じていたころ頃、エンジニアチームからコミュニケーションをつくるチームに部署異動したこともきっかけになって、徐々にシフトしてきました。
実際そのような仕事をやるようになってからは、あらかじめ課題を整理しておけば、エンジニア含めたメンバーが仕事しやすくなるから、やっぱり自分にはそのような動きが向いているなと感じました。」
普段から気をつけていることはありますか?
「基本的にラフな性格なんで、楽しく仕事したいです。難しいことは簡単に言いたいと思っています。特にリモート会議が増えて、形式ばったやりとりが多いんですけど、難しくない言葉で伝えるとか、肩肘張ったかんじにしないとか…仰々しくしないというのを意識しています。本業のコンサルの方にはかなわない敵わないんですが、テック面、せめて気概だけでも、コンサルとして仕事をしよう、と心掛け心がけています。」
仕事の中で、嬉しかったことはどんなことですか?
「今後のキャリアを迷っていたころ頃、何十人もの人がいる会議の場で、制作課題をまとめて整理したことがあって。うまくみんなに伝えられた時、そこで“導けたな”という実感がありました。技術を知った上で喋ることが、強みになるんだと思えたことですね。
あと、ある大規模な提案案件で自分が作った提案書が基元で仕事の受注につながって。その業務範囲や、規模がどんどん大きくなっていっていることです。技術面に関して、コンサル的な立場で仕事をしたい気持ちがあったので、そういった仕事ができてとても嬉しかったです。今後もそういった取り組みを増やしたいです。」
エンジニアが外へ出ていくと、面白くなるんじゃないか

アイスタのエンジニアカルチャーには、どのような特徴があると思いますか?
「実はアイスタって30人くらいエンジニアがいて、結構社外の人にビックリされます。すごくテックでオープンなエンジニア文化を持っている一方で、広告代理店の文化もある。どっちつかず、とも言えるし、その両方がある面白さもあります。
例えば、エンジニアとしては大したことのないモノや技術だなと思っていても、ビジネスの中でどんな価値があるか、第三者やお客さんから見たらどんなふう風に見えるのかが分かりやすい。そのふたつの視点を感じられることは、アイスタならではなんじゃないかな。
僕らエンジニアって謙虚なんですよ。Linuxの生みの親が“チョットデキル”のTシャツを着るかんじ。その分野に詳しいことや、専門性が高いことを“チョットデキル”って言っちゃうノリがあるみたいに… 基本的に謙虚な性格ではあると思うんです。ただ、最近エンジニアが所属先を明かして活躍する人がたくさん出てきているので、僕らも社外に出ていくようなことやっていくといいのかなと思っています。
どこかに困った人がいて、その人を技術的に助ける。それがきっかけで頼りにされて、仕事をつくれるエンジニアがいてもいいし。だから外に向かうことをやってみると面白くなるんじゃないかなって…これ、マジでよくないですか。」
少しずつ発信の機会が増えるといいですね。ちょうど今取り組んでいる “Headless CMS”のプロジェクトについても教えてもらえますか?
「ここ最近フロントエンド界隈で注目されているHeadless CMS は、フロントエンド(Head)を持たない CMS(*1)のことです。フロント部分がないことで、これまでの CMSとは違って、デバイスやチャネルごとに自由に表現ができます。
ここ数年で国内外のヘッドレスCMSの案件を多く担当し知見が溜まっています。デバイスや表現など目的に応じて、導入を検討することができるので、Headless CMSが気になっている人は何でも相談してほしいです!」
(*1)CMSとは、「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略でWebサイトのコンテンツ、テキストや画像、デザイン・レイアウト情報などを一元的に管理するシステム。
パートナー企業との連携も強化しているんですね。そのほかに、今 気になっていることは?
「コストや売り上げです。主な仕事が意思決定だから、その効果やパフォーマンスという意味で。知り合いのエンジニアから海外市場の話をよく聞くと、北米の開発単価が高いから、という理由で日本が安価で仕事に発注が来てる話も。聞けば聞くほど、受託市場はヤバい状況なんだなと。だからこそ、競争力や今後の自分がやっていくことの市場価値について考えています。」
大切にしたい“コミュニティ”と“未来への投資”

これから挑戦したいことはありますか?
「そうですね、直近だと文章をうまく書けるようになりたいです。大きな目標でいうと、自分の仕事がどれくらい先の未来を引っ張っていけるのか。投資できるかを考えるようになりました。自分がやっている仕事の割合を、できるだけ未来に対する仕事にしたいです。30代になったからかなぁ。」
プライベートで楽しみなことは?
「サッカーを見るのが好きです。地元のクラブチームのファンで。試合は必ずチェックしてます。今は連ドラの日曜ドラマにもハマっているので、日曜日が来るたびに楽しみで。しっかりテレビの前に座って、リアルタイムで楽しんでいます。
あとは、プライベートでやっているエンジニアコミュニティのフォロワーが1000人を超えて、日本全国のエンジニア同士が情報交換したり、立場を超えて助け合えるグループになってきたことです。利害関係もなく助け合える平和なコミュニティ、これからどうなっていくか分からないんですけど、その場を大切にして、もっと大きな場にしたいって漠然と思っています。」
昔から、コミュニティが好きなんですか?
「いえ、エンジニアコミュニティは、3年くらい前からたまたまclubhouseでやっていた事がきっかけで始まりました。ふだんの仕事だと、コンセプトがあってルールがあって、目的があるんですけど…プライベートのコミュニティってしっかりした目的がなくても、こんなにたくさんの人が集まってくれるんだ!っていうい驚きがありました。学生時代、学園祭実行委員をやっていたことも今になって役に立っている気がします。」
プライベートと仕事がつながってきたんですね。
「はい、プライベートでも気が向くと実装しているので、休みがあっても何か手を動かして作ってしまいますね。今年はiOSでもWebプッシュ通知ができるようになるから、これは忙しくなるぞー!仕事増えちゃうぞーと思って勝手に準備してしまいます。仕様を調べたり、実際に作ってみたり。なんか作る、ってのがずっと好きなんです。」

取材・執筆:田中 朝子
撮影:足守 新吾