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今話題のHeadless CMSとは?テクニカルディレクターが語る、メリット・デメリット

鈴木 利弥(フロントエンドエンジニア / テクニカルディレクター)
2023-04-12
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昨今、ユーザーのプライバシー保護の観点から、従来リターゲティング広告などに使用されていたサードパーティクッキーの規制が強くなっており、将来的には無効化されていきます。今後は企業が自らが主体的に顧客や見込み客のデータを集め、マーケティングに活用する必要性がさらに高まっていき、ファーストパーティクッキー等の利用が可能で、ユーザーの情報を自社で取得・追跡できるオウンドメディアの位置付けが重要になっています。

多様化するデジタルタッチポイントへの対応

オウンドメディアの重要性が高まっているのと同時に、アプリやデジタルサイネージ、SNSなど、ユーザーとのタッチポイントは増加しています。そういった複数のデバイスやメディアへの対応も企業には求められていくに従って、コンテンツを管理する負担も増えていきます。そこで注目されているのが近年トレンドになっているHeadlessCMS(ヘッドレスCMS)です。CMSとはコンテンツマネージメントシステムの略で、一般的にはWebサイトの記事を登録、編集、公開などを管理するシステムです。

従来のCMSとHeadlessCMSの比較

項目

Headless CMS

Traditional CMS

代表的なサービス

Contentful / microCMS

Wordpress / MT

コンテンツ登録・管理機能

コンテンツ表示機能

無 ※独自に開発が必要

CMS環境構築

不要

必要

CMS環境運用

不要

必要

セキュリティ対策

不要 ※サービス側で担保

必要

管理画面のカスタマイズ性

△〜◎ (サービスによって異なる)

サイトの拡張性

旧来のWordpressやMT(MovableType)など従来型の有名なCMS(Traditional CMS)とHeadlessCMSを比較した時に、最も大きな違いとなるのがコンテンツ表示機能の有無です。Traditional CMSがコンテンツ登録・管理機能に合わせてコンテンツ表示機能も有しているのに対し、HeadlessCMSはコンテンツ表示機能を有していません。一見機能が少なくなったようにしか思えないHeadlessCMSのメリットを次の段落でご紹介します。

HeadlessCMSのメリット

CMSサーバーの管理コストが比較的低い

Traditional CMSを使うためには自社でCMSをインストールするためのサーバーを用意する必要がありますが、HeadlessCMSはSaasサービスなので自社でサーバーを用意することなく使用が可能です。サーバーのメンテナンスやセキュリティ対策などの運用は、サービス側で担保するので、導入企業側のCMSサーバーの運用作業が不要になります。その分、運用費用も比較的安く抑えることができます。

サイトの表示部分のクオリティが追求しやすい

Traditional CMSはコンテンツ表示機能を持っているため、見た目の部分を作る際にはそのCMSごとのルールに従う必要があります。HeadlessCMSにはそもそもコンテンツ表示機能がないため、そういったCMSのルールに縛られることなく見た目部分を自由に構築することが可能です。要件に合わせた柔軟で最適な構築が可能になるため、表示部分のクオリティが追求しやすくなります。

多様なシステム連携が可能

Traditional CMSが基本的に1つのサイトを構築するために閉じた作りになっている一方、HeadlessCMSはAPIの機能をベースとなっています。API経由でアクセスすることによって、さまざまなサービスとの連携が可能なので、1つの管理画面からさまざまなデバイスやインターフェースへの配信が実現できます。

HeadlessCMSのデメリット​

HeadlessCMSのデメリットを挙げるとすれば開発難易度が高いことです。Traditional CMSはサーバーを用意しCMSをインストールした上でCMSのルールに従えさえすれば、運用コストや開発制限などのデメリットと引き換えに、コンテンツを管理する機能それらを表示するコンテンツ表示機能まで一つのCMSに任せることができます。一方コンテンツ表示機能を持っていないHeadlessCMSの場合は、コンテンツ表示機能はこちら側で構築しなければいけないため、先述のメリットがある代わりに開発難易度が上がります。

最後に

​構築難易度が高い代わりに様々なメリットがあるHeadlessCMS。弊社では業界に先駆けて2019年からHeadlessCMSの導入を開始し、すでにコーポレートサイトや専門商社等への導入実績がございます。積み重ねたノウハウをもとに、現在も大手専門商社や自治体サイトへの導入を進めています。もちろんオウンドメディアの構築も承ります。

CMSって何?どんなことをすればいいの?という方でも、テクニカルディレクターが要件のヒヤリングなどから並走しますので、お気軽にご相談ください!

執筆者
鈴木 利弥(フロントエンドエンジニア / テクニカルディレクター)
2015年 博報堂アイ・スタジオ入社。
入社以来フロントエンドエンジニアとしてブランドの世界観を拡張するようなウェブサイトを制作。近年はテクニカルディレクターとして、AWSやヘッドレスCMSを活用し、モダンな大規模CMSサイトの構築を行なっている。

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